小幡蓮 新潟市江南区を対象とした原位置サウンディング試験による表層地盤の液状化特性の把握 池田隆明 志賀正崇 新潟市江南区天野地区において,令和6年能登半島地震で顕在化した液状化被害の局所的な差異と地盤構造との関連性を解明するため,原位置サウンディング試験および物理探査を用いた統合的な地盤評価を行った.対象とする天野地区は信濃川の旧河道および自然堤防上に位置し,過去の土地利用変遷により複雑な地盤構成を有する.1964年新潟地震では農地を中心に液状化被害が発生したが,2024年能登半島地震では宅地における不同沈下や噴砂が多発した一方,調査地点である曽野木小学校グラウンド内では顕著な地表面変状が確認されなかった.この被害形態の差異を支配する要因を特定するため,スクリューウェイト貫入試験(SWS),ポータブル動的コーン貫入試験(PDCPT),電気式静的コーン貫入試験(ECPT),標準貫入試験(SPT)といった多角的なサウンディング手法と,表面波探査および単点微動探査による物理探査を実施した.調査の結果,当該地域の地盤は深度方向に6つの層に区分され,深度12m以深の強固な砂丘層を基盤として,その上位に旧河道堆積物や後背湿地由来の軟弱な腐植土・粘性土が厚く堆積し,最表層には宅地造成に伴う盛土が分布する構造であることが明らかとなった.液状化判定の結果,深度1mから3mの砂質土層ではFL値が1.0を下回り液状化発生の可能性が高い状態にあったが,地表面付近(深度1m以浅)に相対的にN値が高く剛性の高い層が存在することが確認された.この表層の硬質層が「非液状化層(蓋)」として機能し,下層で発生した過剰間隙水圧の消散や流動化に伴う変形が地表面へ到達することを抑制したと結論付けられる.対照的に,周辺の被害地点ではこの表層キャップ層が欠如あるいは薄く,軟弱層が地表まで連続していたことが被害を助長したと考えられる.また,各探査手法の比較検討により,SWS試験は軟弱層の迅速な把握に,PDCPTは表層の剛性評価に,ECPTは詳細な土質判別にそれぞれ有効であることが示された.さらに微動探査の結果から,同一の旧河道内であっても卓越振動数に局所的な差異が認められ,地盤の三次元的な不均質性が示唆された.以上より,広域的な地形区分のみならず,表層地盤の局所的な層厚や強度特性が液状化被害の発生形態を決定づける主要因であることを明らかにした.