武藤夏歩 2つの能登半島地震で生じた道路被害の分析と類似性の検討 池田隆明,志賀正崇 2024年能登半島地震の影響で,石川県金沢市と能登半島を結ぶ自動車専用道路「のと里山海道」では,橋梁アプローチ部を含む盛土の崩落や路面の亀裂が多数発生し,道路機能の低下により救援・復旧に大きな影響を及ぼした.2007年能登半島地震でも「能登有料道路(現・のと里山海道)」では同様の被害が確認され,盛土構造物の地震被害が繰り返し発生している.盛土の被害は,施工方法や地震外力に加え,地形や盛土形状など様々な要因に影響を受ける. そこで本研究では,両地震で被災した地点を特定し,被害に関与すると考えられる横断面形状,小段数,盛土高及び地震動を抽出し,被害との関係を分析することを目的とした. 2024年被害箇所はGIS上で地震後のオルソ画像を目視し,現地調査及びストリートビューを併用して97箇所を特定した.2007年は地震直後の航空写真から作成したオルソ画像と被害写真を用いて44箇所を特定した.比較の結果,被害は道路北部(徳田大津IC−穴水IC)に集中し,特に横田IC−別所岳SA区間で顕著であった.2つの地震は規模や震源特性が異なるが,被害状況には高い類似性が認められた. 被害要因を検討するため,道路周辺の地形変化の有無の把握,構造形式の分類,盛土高及び地震動(PGA/PGV)の推定を実施した.はじめに地震前後の航空写真から建設前・2007年地震後のDSMを作成し,2024年地震後は公開されたDEMを用いて3年代の3次元地形モデルから地形改変の有無を評価した.構造形式の分類では,図面を用いて,主に盛土を片盛土と両盛土に分類したうえで,小段数を算出した.盛土高は小段数から推定し,2024年の大規模被害箇所については等高線からも算出した.地震動は観測データを基にのと里山海道専用の距離減衰式を作成し,その式からPGA/PGVの空間分布を出力し,被害地点の値を求めた. 分析の結果,大規模な地形改変は認められず,盛土部の被害割合が高かった.そして,小段数の多い箇所で被害が発生する傾向が見られた.また,2024年の大規模被害箇所は等高線から算出した盛土高が高い傾向にあることから,盛土高が高いと大規模被害のリスクが高いと考えられる.PGA/PGVは2007年より2024年の方が大きく,特にPGAは北部ほど増大する傾向が見られた.したがって,道路北部で被害が集中した要因として地震動の増大が関係していると考えられる.一方,PGVはばらつきが大きく,被害規模との明確な相関は確認されなかった.