齊藤竜也 令和6年能登半島地震における内灘町西荒屋地区の地盤変状の定量化 池田隆明,志賀正崇 2024年1月1日16時10分頃に発生した令和6年能登半島地震により,震央から南西方向に約100km離れた石川県河北郡内灘町では,海岸砂丘の内陸側の麓において液状化・流動化が発生し,住宅,道路,ライフラインに大きな被害が生じた.また,同町や金沢市,かほく市,津幡町に囲まれた河北潟という潟湖があり,過去に新たな農地創出のために河北潟の干拓と埋め立てが行われた.干拓のために内灘町には放水路が設けられ,砂丘内陸側が掘削されており,掘削された土砂で河北潟が埋め立てられた.この人為的な大規模地形変化を地形改変と呼ぶ.地形改変された場所に現在は住宅地が形成され,その住宅地で液状化・流動化が発生した.そのため,地形改変と液状化・流動化には関係性があると考える.関係性を検討するためにはどの程度液状化・流動化が発生したのか,どの程度地形改変がされたのかをそれぞれ定量的に示す必要がある.そこで,本研究では被害が大きかった内灘町西荒屋地区を対象とし,地震前後の数値表層モデル(DSM)の差分から,液状化・流動化に伴う地盤変状の定量化を行った.地震前のDSMは空中写真を用いたSfM-MVSにより作成し,地震後のDSMはLiDAR SLAM計測により作成した.LiDAR SLAM計測から作成した地震後のDSMは高い精度を有している一方で,空中写真から作成した地震前のDSMは十分な精度が確保されているとは言い難い.これは,空中写真はDSM作成を目的として撮影されたものではないためである.そこで,地震前のDSMの精度向上を目的としてマーカー設置および補正処理を行った. 地盤変状を地震前後のDSMの差分から求めた結果,西荒屋地区の中で特に被害が大きかった県道8号線で0.8mの隆起や0.5mの沈下が確認された.大きな地盤変状が確認されたのは西荒屋小学校付近であり,過去の空中写真から,小学校周辺は過去,採砂場であったが現在は埋め立てられているため,脆弱な地盤であった可能性がある.隆起が確認された区間は脆弱な地盤が流動し,県道8号線でせき止められ,大きな隆起が発生したと考えられる.また,沈下が確認された区間は県道8号線自体が流動してしまったため沈下したと考えられる.