安達 和希 令和6年能登半島地震による新潟市内の液状化現象における簡易液状化判定法の判定適合性に関する検討 池田隆明、志賀正崇 令和6年能登半島地震(以下,本地震)では,震源から150km以上離れた新潟市においても,新潟砂丘斜面末端部や信濃川旧河道沿いを中心として広域に液状化が発生した.また,新潟市は1964年新潟地震でも大規模な液状化被害を経験しており,同一地域で繰り返し液状化が生じる地域として,液状化予測評価の妥当性を検証する必要があるといえる.液状化予測評価の一般的な手法としては,FL法という簡易液状化判定法がある.FL法は,地盤の液状化抵抗比Rと地震時せん断応力比Lの比である安全率F_L(=R/L)により液状化の可能性を評価する.この手法は,標準貫入試験によるN値など比較的容易に入手可能な地盤パラメータを用いて液状化の可能性を定量的に評価できることから,実務で最も広く用いられている.しかし,FL法はあくまで簡易的な手法であり,新潟市における実被害について十分な判定精度を持つかは明らかではない.さらに,本地震における新潟市の液状化被害と液状化判定結果を照合した研究は現時点では行われていない.そこで,実被害と判定結果の照合を通じてFL法の判定適合性を検証することで,液状化リスクが高く対策を優先すべき地域を抽出し,限られた対策予算の下で対策の優先順位付けを行うことが可能となる.対策の推進が実現すれば,新潟市のように繰り返し被害が発生する地域の被害低減に資することが期待される.本研究では,FL法の判定精度に影響する支配要因を整理するため,多角的な検討によりFL法の判定適合性について整理した.具体的には,本地震による新潟市の液状化発生エリアと地形条件の対応関係を把握するとともに,複数指針におけるFL法のパラメータに関する感度解析,および市内の実地盤データに基づく液状化判定を実施し,それぞれの結果を相互に比較して対応関係を明らかにした.検討の結果,新潟市における液状化発生範囲は砂丘末端部,旧河道,旧河道由来の埋立地など旧地形と強い相関があることが確認された.また,液状化判定式の感度解析では,高FC条件で道路橋示方書の液状化抵抗比R_Lが増加しやすい傾向が顕著に現れた.さらに,寺尾・ときめき地区において選定した代表4地点でFL値を算定して実被害(地表面の変状の有無)と照合した結果,変状あり地点では浅部でF_L<1となる層が現れ判定結果と被害が一致した一方で,変状なし地点で空振り(FL値による危険度の過大評価)が生じる場合がみられた.空振りに関してはそれぞれの地盤が持つ特性や地層構造により説明ができるものがほとんどで,液状化が発生したとみられる層の深度や層厚が地表面変状に影響することが示唆された.加えて,FCを概略値から試験値へ置換すると高FC区分の見逃しが概ね解消され,判定適合性が向上することが明らかとなった.