FAINENG YENGYANG 玄武岩繊維による吹付けコンクリートのひび割れ抵抗性の向上 下村 匠 吹付けコンクリートはトンネルや斜面補強などで広く利用されているが、ひび割れが発生しやすいという問題があり、構造物の水密性や耐久性を低下させる要因となっている。その対策として、環境負荷が小さく高強度・耐食性に優れる玄武岩繊維および珪灰石を用いた繊維補強が注目されている。本研究は、これらを混入した吹付けコンクリートのひび割れ抵抗性の向上効果を拘束収縮試験により確認することを目的とした。 実験では、繊維なし(N)、玄武岩繊維のみ(B)、玄武岩繊維と珪灰石(BW)の3種類の配合を用い、水セメント比は55%とした。供試体は高さ15cm、外形40.6cmの鋼管を用いた円筒型とし、乾燥収縮現象の違いとひび割れ発生状況の観察を目的として、コンクリート幅は貫通ひび割れを想定した21.8mm(1シリーズ)と非貫通を想定した46.8mm(2シリーズ)の2水準で作製した。打設時には鉄棒で毎回10回以上の締固めを行い、1週間の養生を経て温度20℃、湿度60%の恒温室にて乾燥収縮によるひずみ変化を測定した。測定の結果、乾燥開始後の初期4日間においてデータが欠損したことにより、ひび割れ発生時の挙動を捉えることができなかった。この期間はコンクリートの初期収縮が急激に進行する段階であり、実際にはこの測定不能期間中にひび割れが発生していた可能性が高いと考えられる。仮にこの4日間の中で配合によって差があったとしても、それは数日程度の極めて限定的な差に留まると推察される。したがって、繊維の混入がひび割れ発生そのものを防止する、あるいは発生時期を大幅に遅らせる効果は認められないと言える。 しかし、乾燥19日目のひび割れ幅の合計値を比較したところ、いずれのシリーズにおいても繊維を混入した配合(BおよびBW)は、繊維なし(N)に比べてひび割れ幅が明確に抑制される傾向が確認された。ひび割れ面の観察では、玄武岩繊維が露出して両側のコンクリートを繋ぎとめる架橋効果を発揮している様子が確認され、このメカニズムがひび割れ進展を抑制し、ひび割れ幅を低減させたと考えられる。一方、珪灰石については面上で直接確認することは困難であった。 以上の結果から、玄武岩繊維の混入はひび割れ発生の抑止には至らないものの、発生後のひび割れ幅を制御する補強材として有効であることが示された。