近藤 健大 塩害環境評価MAPの構築とデジタル3D都市モデルへの実装 中村 文則 北海道から北陸地方の沿岸部では,冬季の季節風により,海域から発生する飛来塩分の作用が激しく,コンクリート構造物において塩害劣化が問題となっている.道路橋示方書などにおいても,飛来塩分量が大きい重塩害地域に指定されている.このような環境の中で,沿岸部に設置された多数のコンクリート構造物を維持管理していくためには,飛来塩分の作用を予測するとともに,その結果を効率的に把握および利用できる技術を構築することが重要である.本研究では,沿岸部の飛来塩分量の分布を効率的かつ簡易的に判別できるようにすることを目的として,北陸地方の新潟県および富山県を対象に,周辺環境条件を考慮した塩害環境評価MAPを構築し,既存の橋梁の点検データと飛来塩分量の関係について考察を行った.さらに,その結果を幅広く利用するために,3次元都市モデル(PLATEAU)を組み合わせた塩害環境評価MAPの可視化方法について検討を行った. 沿岸部における飛来塩分量を判別するための塩害環境評価マップは,各地域に作用する気象(風)・波浪条件と障害物(消波ブロック,防風林),海岸からの距離の影響を考慮した飛来塩分量の平面分布から構築した.飛来塩分量は,東北・北陸地方の沿岸部で実施した飛来塩分の現地調査結果から経験的な式を構築して算定を行った.既存の橋梁の点検データは,国土交通省の橋梁データプラットフォームxROADのデータを利用した.可視化方法の検討に利用した3次元都市モデルは,国土交通省が公開している3D都市モデル(PLATEAU)の新潟市のデータを利用した.塩害環境評価MAPは,北陸地方の新潟県および富山県沿岸部を対象とした. その結果,塩害環境評価MAPを利用することで,個別の地域の気象・波浪条件に応じた飛来塩分量の違いを考慮できるとともに,障害物(消波ブロック,防風林)および海岸からの距離を考慮した飛来塩分量を簡易的に評価できることが明らかになった.塩害環境評価MAPに,既存の橋梁の点検データを実装することで,各橋梁に作用している飛来塩分量と点検結果を容易に確認でき,効率的な維持管理技術として活用できる可能性があることが分かった.3次元都市モデルを利用して,塩害環境評価MAPを可視化することで,周辺地形の影響を詳細に把握して飛来塩分量を評価できる可能性があることが示された.