氏名:山田菜々美 論文題目:バルブプレートを用いた圧縮補剛板の座屈に関する研究 指導教員名:岩崎英治 概要:本研究は,バルブプレート補剛が座屈耐力に及ぼす影響を明確化するとともに,従来用いられてきた他形式の補剛リブと比較することで,その相対的な優位性を評価することを目的とする.橋梁構造では,軽量化と十分な耐荷力の両立が求められ,部材の板厚を抑えた設計が一般的であるため,板要素の座屈が構造性能を支配する重要な要因となる.平リブ,トラフリブ,バルブプレートはいずれも従来から用いられてきた補剛形式であるが,バルブプレートについては疲労対策を主目的とした適用例が多く,圧縮応力下における座屈耐力の観点から体系的に整理した研究は十分ではない.本研究では,規格化されたバルブプレート断面を対象とし,有限要素法による数値解析を用いて圧縮補剛板の座屈挙動および耐荷力を評価した.解析モデルは道路橋示方書に基づいて設定し,幅方向パネル数,補剛材形式,板厚および補剛板幅を主なパラメータとした.さらに,初期たわみおよび残留応力を考慮した弾塑性解析を行い,座屈発生から耐力低下に至る挙動を連続的に把握した.その結果,全体座屈モード, 局部座屈モードがともに正となる条件では,バルブプレート補剛板の耐荷力は平リブ補剛板と同程度にとどまり,明確な優位性は確認されなかった.一方,平リブ補剛板において縦方向補剛材の剛比が必要剛比に近い臨界的条件では,バルブプレート補剛板の耐荷力は平リブ補剛板を上回り,最大で約10〜25%程度の向上が認められた.実際の橋梁設計においては,構造物の軽量化や経済性の観点から,縦方向補剛材の剛性は必要剛比を満足する最小限の値,すなわち限界剛比付近となるように設定される場合が多く,このような実設計条件では補剛材剛性が座屈耐力を支配する要因となる.したがって,バルブプレート補剛を採用することで,構造重量を極端に増加させることなく補剛板の耐荷力向上を図ることが可能である.さらに,全体座屈モードが負側に発生し補剛材が圧縮力を受ける条件においては,座屈モードが正側の際に比べて強度が低下した平リブに対し、バルブプレート補剛板は一貫して高い耐荷力を示し,座屈モードの違いに対しても安定した性能を有することが明らかとなった.以上より,バルブプレート補剛が有効に機能する条件とその力学的特性を,平リブ補剛板との比較を通じて定量的に整理した.