ラオルー チュソン セメント添加した砂の引張破壊特性の実験的観察 豊田 浩史  本研究では,原位置試料を模擬したセメント添加砂を対象として,砂地盤の引張亀裂進展を評価可能な引張応力強度試験手法を新たに確立することを目的とした.はじめに,端部条件の異なる3種類の供試体を用いて引張応力強度試験を実施し,試験の安定性および引張亀裂評価の可否について検討した.その結果,端部に処理を施さない供試体およびシリコンゴム処理供試体では,空気漏れや境界部の付着力不足により安定した引張試験の実施が困難であることが明らかとなった.一方,端部に粘土処理を施した供試体では,空気漏れを抑制した状態で引張亀裂発生直前まで応力強度を連続的に測定でき,砂地盤の引張応力強度試験が可能であることが確認された.  次に,セメント添加量の影響について検討した結果,添加量が0.7〜0.8%と低い場合には,引張応力強度が小さく,亀裂進展評価が困難であることが分かった.一方,添加量が1.6%以上では,砂と粘土の境界部で破壊が生じ,砂中央部の引張応力強度を測定できないことが確認された.これらの結果より,本研究条件において引張応力強度試験を安定して実施可能なセメント添加量は1.0〜1.5%の範囲であることが明らかとなった.  さらに,セメント添加砂の力学特性を多角的に評価するため,圧縮強度試験を実施した結果,圧縮強度は引張応力強度のおよそ3.7倍となり,引張に対して相対的に脆弱であることが示された.加えて,同程度の引張応力強度を有する粘土供試体との比較から,粘土は延性的破壊挙動を示すのに対し,セメント添加砂は弾性的挙動の後に急激な破壊に至る脆性的特性を示すことが確認された.以上より,引張亀裂進展の評価においては,引張応力強度の大きさのみならず,材料特性および破壊挙動を考慮する重要性が示された.