小幡 泰史 既設バラスト軌道を用いたBRT専用道路の舗装構造に関する研究 高橋 修 我が国における地方公共交通は,少子高齢化や人口減少に伴い,その維持が深刻な問題となっている.鉄道事業者では地域公共交通を維持するため,地方自治体との協議を経て,廃線が決定した鉄道区間に対して新たにBRTへ運行転換することが行われている.鉄道線路をBRT専用道路に作り替える際,既往の舗装構造では粒度調整砕石を新規に購入して路盤層を構築していたことから,施工費用の増加が課題として挙げられる.BRT専用道路は交通量がかなり少ないことから,実交通量に応じた舗装構造を適用することで,施工費用の削減が期待できる.そこで,新たに提案された舗装構造として,路床は原地盤とし,路盤材には既設バラストにセメント安定処理を施したものを採用し,その上に直接アスファルトコンクリート(以下,アスコン)層を舗設した代替案が検討されている.これによって,既往の舗装構造で用いられた粒度調整砕石の購入と施工を省略することが可能となり,施工費用の削減につながる.しかし,提案された舗装構造の路盤層は最大骨材粒径がかなり大きい軌道用バラストであり,表面の凹凸が著しいことから,アスコン層の強度にばらつきが生じることが懸念される. 以上を踏まえ,本研究では,提案されているBRT専用道路の表・基層としてのアスコン層を力学的に評価し,構造設計で必要とされる設計指標を定量化することを目的とした.また,得られた設計指標をもとに,舗装の構造的安全性を評価し,施工費,工期および二酸化炭素(以下,CO2)排出量の削減効果についても試算した.試験結果より,下面に著しい凹凸のあるアスコン層は下面側の締固め度が低く,凹凸のないアスコン層上側よりも耐久性が低下していることが確認された.アスコン層の厚さを変化させた検討を行い,基準密度を満足する上側60%を表層,満足しない下側40%を基層と分けて考えることとした.そして,多層弾性理論に基づく理論的設計を行い,構造的安全性を評価して,交通量の少ない条件下においては,アスコン層厚を80mm以上舗設することで,舗装としての要求性能が満足できることを確認した.さらに,ある地域における単価に基づいて舗装構造の施工費,工期,CO2排出量を求め,既往の舗装構造と比較した.その結果,約50%以上の費用削減,約2週間の工期短縮が可能となったが,CO2排出量については約17%増加する結果となった. 以上の検討より,既設バラスト軌道を用いたBRT専用道路の舗装構造は,構造的安全性を確保しつつ,施工費削減と工期縮減に寄与することが確認された.