松尾 海杜 エリア別経路選択基準を考慮した交通量配分モデル 加藤 哲平 近年,自動運転技術は急速に発展しており,自動運転の導入による交通流の効率化が期待されている.日本国内では,政府が2025年に高速道路上での自動運転レベル4の実現を目標に掲げている.このように,自動運転は,歩行者や自転車等の侵入がない高速道路などの高規格道路から導入が進むことが期待される.一方で,歩行者や自転車が存在する一般道路などの低規格道路においては,自動運転の導入にインフラ整備が必要となると考えられる.自動運転は,ミクロな車両制御によって生じる交通容量の増加といった単路部の効率化だけでなく,普及が進むにつれて経路誘導といったマクロな制御による交通ネットワーク全体の効率化をもたらすと言われている.したがって,自動運転普及過渡期において,高規格道路ではマクロな経路誘導が可能となる一方,低規格道路では当面の間,ドライバーによる手動運転および利己的な経路選択が継続すると考えられる. 以上を踏まえ,本研究では,自動運転エリアと手動運転エリアが併存する自動運転普及過渡期における交通流の予測および道路施策の在り方を検討することを目的に,交通量配分モデルを構築する.本研究で提案する交通量配分モデルでは,手動運転エリアにおいては,利用者の移動時間に対する認知誤差を考慮した確率的利用者均衡を仮定し,これらのエリアと自動運転エリアを含むネットワーク全体では,総旅行時間の最小化を目的としたシステム最適化配分を仮定する.このため,提案するモデルは,手動運転エリアの均衡条件を制約に持つMPEC型のシステム最適配分モデルとして構築される. 構築したモデルをテストネットワークに適用し,数値実験を行った.まず,算出された解が局所的であっても,均衡状態にあるかを数値的に確認した.次に,手動運転エリアの規模を変化させたケーススタディを通じて,利己的な経路選択の減少に伴い,総旅行時間が減少することを示した.一方で,リンク混雑率に大きな改善は見られなかった.さらに,自動運転車の普及を想定した,交通容量引き上げ施策に関する数値実験の結果,総旅行時間およびリンク混雑率が改善される傾向を示した.一方で,一部リンクの交通容量の増加が,他のリンク混雑率を悪化させるケースも確認された.また,自動運転エリアと手動運転エリア双方における交通容量の増加によって生じる相乗効果についても検証した.