戸澤颯太 冬期高速道路における路面状況推定モデルの構築 佐野可寸志   近年,日本海側を中心に短期間の集中豪雪が増加し,高速道路では大型車のスタックを契機とした大規模滞留が顕在化している.冬期の交通管理では通行止め判断や除雪計画の高度化に向け,広域の路面状態把握が不可欠であるが,カメラ画像の目視判定や現地観測は人的負担が大きく,継続運用に課題がある.本研究は,運用が可能である気象・交通・除雪データを用いて路面状態を推定する枠組みを構築し,関越自動車道の定点カメラ判定データを教師として機械学習モデル(LightGBM)とマルコフ性を考慮した状態遷移モデルを評価した.対象は湯沢,塩沢石打,六日町,小千谷の4地点で,2023年12月〜2024年3月に30分間隔で付与された路面データを用い,積雪なし,湿雪,凍結,乾雪1〜3cm,乾雪3cm以上の5区分を路面区分として推定を行う.説明変数には降雪量・累計積雪降雪量・気温に加え,交通量・地点平均速度・大型車混入率・占有率,除雪車通過後経過時間を導入した.まずLightGBMモデルにより多クラス分類を行い,K分割交差検証で検証した.結果として,正解率約77%を得た.次に,路面状態の持続性に着目し,遷移確率を説明変数で表すマルコフ性を考慮した路面状況推定モデルを構築した.正則化を導入したモデルによる推定は,比較対象に設定したロジットモデルを上回る正解率を示し,推定の有効性を確認した.また,モデル間の位置付けとして,LightGBMモデルは単時刻の推定精度と学習の柔軟性に優れ,説明変数の重要度から降雪量や気温,除雪後経過時間等の寄与を整理できる.マルコフモデルは状態遷移を明示できるため,悪化路面の発生や路面持続性の把握に基づく運用判断支援への寄与が期待される.本手法は既存の運用データで実装可能であり,路面監視の省力化と早期警戒に資する基盤を示した.さらに,路面区分を轍の有無も考慮するために轍あり湿雪・乾雪を黒シャーベット,白シャーベットに拡張して同様に検証した.轍を考慮したモデルは,運用上重要な悪化局面の推定可能性を示した.今後はリアルタイム化を行う手法の考案,稀な路面状況への推定強化が課題に残る.以上より,LightGBMモデル,マルコフモデルを用いた路面状況推定精度は概ね担保されたが,一方で凍結やシャーベット系など境界が曖昧な状態は識別が不安定になりえるため,路面温度や凍結防止剤散布情報の導入,ラベル基準の整理,クラス不均衡対策,地点・年度を跨ぐ汎用性が今後の課題である.