遠藤匠 予防的通行止めの情報提供のあり方が運送事業者の経路選択行動に与える影響 佐野可寸志   近年,短期間に集中的な大雪が増加し,大規模な車両滞留が発生する可能性が高まっている.この状況に対応するため,豪雪の予想される時間帯は未然に通行止めを実施する予防的通行止めが導入されているが,事前告知が開始直前(概ね1〜3時間前)となる場合が多く,解除時刻も不明又は解除直前まで提示されないため,運送事業者は通行止めを考慮した運行判断が困難な現状がある.これらの背景を踏まえ本研究の目的は運送会社を対象として豪雪時の運行実態を明らかにするとともに,予防的通行止めの事前告知および通行止め解除時刻の早期提供に着目し,これらが実現された状況下での運送会社の運行判断を把握した上で,予防的通行止めにおける情報提供のあり方を明らかにすることにある. 本研究では運送会社および運送支援を行うトラック協会を対象として,冬期の運送方針および予防的通行止め実施時の対応,情報提供が早期化された状況下での行動選択について調査を実施した.調査の結果,通行止めの可能性が示されても規制が実施されない限り当該経路で運送を継続する傾向が確認された一方,通行止め中止といった空振りが生じても早期に情報が得られる方が望ましいという意見が多かった.また,解除見通しが得られない状況では解除まで待機する回答が多くみられ,解除時刻情報の不足が行動の選択肢を狭める可能性が示唆された.運送中止への影響分析では,到着遅れ見込みが大きいほど運送中止を選択する企業が増加する傾向が確認された.予防的通行止めに関する事前告知のタイミングに関しては対応がしやすいタイミングとして通行止め実施の12時間前を挙げる回答が多く情報提供の早期化を求める傾向が確認できた.望ましい対応として前倒しを含む行動が多く,情報提供が遅い場合にはこのような対応が実行できない可能性が示唆された.さらにSP調査に基づく行動選択モデルより,所要時間の増加よりも到着遅れの抑制を重視する傾向が得られ,遅れを減らす方向の前倒しや迂回が選択されやすいことが示された.また,品類や運送中止の影響認識により中止の選好が異なり,企業特性に応じて判断が分かれることが示唆された. 以上より,予防的通行止めにおける情報提供のあり方として運送会社が前倒し・迂回の判断に必要な時間を確保できるよう,事前告知を早期に行うことが重要である.加えて,解除時刻に関する情報を早い段階で示し,到着遅れの見込みを具体化できれば,運送中止に偏らない運行判断を支援し得る.