島田康司 ドローンLiDAR計測した水稲群落点群の鉛直分布推定モデルの高度化 高橋一義  近年,スマート農業の推進に伴い,ドローンLiDARを用いた水稲群落の三次元計測が注目されている.ドローンLiDARは,天候や光条件の影響を受けにくく,圃場全体の構造を非破壊かつ面的に把握できる有効な計測手法である.一方で,ドローンLiDAR計測によって取得される水稲群落の点群鉛直分布は,飛行高度やLiDARシステムの違いにより生じるレーザスポットサイズの変化に強く依存することが報告されており,観測条件の違いを考慮した解釈が求められている.既往研究では,レーザスポットサイズを考慮した点群鉛直分布推定モデルが提案され,特定条件下での有効性が示されていたが,生育初期や異なる観測条件への適用性には課題が残されていた.  そこで本研究では,レーザスポットサイズの効果をより詳細に表現可能な点群鉛直分布推定モデルを構築し,異なるLiDARシステムおよび飛行高度条件下におけるモデルの再現性と有効性を検討することを目的とした.  本研究では,既往モデルに対して,レーザ反射過程の表現方法を改良するとともに,レーザスポットサイズを実数値として扱う新たな指標を導入した.これにより,飛行高度やLiDARシステムの違いにより生じるレーザスポットサイズの連続的な変化を,モデル内で表現可能とした.評価には,2024年度および2025年度に実施したドローンLiDAR計測データを用い,計測点群鉛直分布と推定点群鉛直分布の類似度をRMSEにより評価した.  その結果,生育初期に相当する2024年6月の計測データにおいて,本研究で提案したモデルは既往モデルと比較してRMSEを平均で約60%低減し,再現性が大きく向上した.また,異なる飛行高度およびLiDARシステム条件下においても,レーザスポットサイズの変化に応じた点群鉛直分布の変化を安定して再現できることが示された.特に,LiDARと水稲の距離が最も近い低高度条件で必ずしも再現性が高くなるわけではなく,L1計測では飛行高度7.5 m,L2計測では30 mにおいて最も高い再現性が得られた.  以上より,本研究で提案した高度化モデルは,生育初期を含む幅広い生育段階および多様な観測条件下において,水稲群落点群の鉛直分布を高精度に再現可能であることが示された.今後は,レーザ入射角の違いを考慮したモデル拡張や,点群鉛直分布から葉面積密度(LAD)を推定する逆推定モデルへの展開により,ドローンLiDARを用いた実用的な群落計測手法としての発展が期待される.