松内 翔海 OpenFOAM による鎌倉沖の津波計算の試み 楊宏選  津波の数値シミュレーションは防災計画や沿岸構造物の設計において重要な役割を担っている.津波解析は,氾濫解析と同様に基本的に浅水方程式を数値的に解いて行われる. 本研究では,OpenFOAMにおいて津波計算のソルバーを開発することを目的とする.OpenFOAMは1980年代末に開発されたオープンソースなソフトウェアであり,OpenFOAMは数値解析開発,及び数値流体力学を含む連続体力学の前後処理用のツールボックスである次のような利点がある.非構造格子に基づく有限体積法(FVM)を用いており,精度の高いメッシュの作成が可能.大規模線形システムの数値計算をOpenFOAM任せで開発者の負担が少ない.様々な離散スキームを開発者が指定するだけで利用可能.  OpenFOAMでの標準ソルバーは2次元浅水方程式を解く例であり,境界条件や粗度係数を考慮した津波の計算ができないため,本研究では粗度係数を含めた地形に対応させ,津波の境界条件を含めた計算が可能なソルバー開発を行った.津波の基礎方程式は水深の輸送方程式と運動方程式を用いて行い,津波の移動境界条件は水の存在の有無を判断させる移動限界水深を設定し判定を行った.計算に必要な場の変数は6個,場以外の変数は4個で計算を行った.計算は波高14.47mを基準とし,ソルバーに問題がないか確認し,次に波高14.47mと25.0mでの比較,堤防に見立てたものを高さ10m,20m,40mで設置し,波高14.47mとしそれぞれ比較を行った.  解析結果は基準となる波高14.47mでの計算はでは,標高の低い地形から徐々に浸水し,時間経過とともに標高の高い箇所に遡上していることを確認した。シミュレーション結果でも水位分布の変化が,グラフの標高変化と物理的に整合しているため開発したソルバーの妥当性を確認した.波高の違いでは,波高25.0mでは波高14.47mよりも波速が早く,広範囲に渡り浸水した.波速の理論値√ghをもとに波高の違いによる速度差も研究結果と概ね一致していることから妥当であると考える.堤防設置では堤防高10m,20mでは津波到達後約2分は減水効果を示していたが時間経過により効果が減少したことが確認できた.また,津波が引く際に堤防内の水位が上昇しダム化する現象が確認できた.これは水の逃げ道がなくなったことで起きる現象であると考える.堤防40mでは津波の到達から時間経過後も高い減衰効果を示しており,波高に対して十分な高さを持つ堤防は効果が高いことを確認した.