佐々木 魁 光学式反射型観測器を用いた降水量推定手法の改良に関する研究 熊倉俊郎  降水量観測は日々行われており,気象予測や気象記録に活用されている.特に,降雪による交通事故や交通渋滞を防ぐために降雪量を観測することが重要となっている.日本のアメダス観測地点などで多く使われている雨量計は転倒ます型雨量計であるが,雪などの固体降水の観測には不向きである.融雪機構を持った温水式転倒ます型雨量計は大雪時に埋もれてしまう.固体降水に適しているディスドロメーターであるLPMや2DVDは高価なものが多く,多地点配置に不向きである.現状,大雪時の固体降水による降水量の観測は,多地点において,ある程度の精度で観測を行うことが困難である.  降水量観測の現状から,本研究では安価で多地点に配置することができ,固体降水の観測が可能なPDSと呼ばれる光学式反射型観測器を用いて固体降水による降水量の観測を行った.PDSは水平に4つ並んだ発光部があり,発光部から近赤外線を照射する.照射した近赤外線が照射領域内を通過する降水粒子に反射し,その反射光を発光素子の下に取り付けた受光部で検知する.PDSは直接降水量を観測することができないので,波形から得られる最大電圧と観測領域通過時間を使用して粒径,落下速度を算出する.算出された粒径,落下速度から降水量推定式を用いて降水量を推定する.推定された降水量と電子天秤データで回帰分析を行い,決定係数で精度を評価する.これまでは単純な算出式を用いて粒径,落下速度を算出していた.本研究では,より複雑な算出式を用いて粒径,落下速度を算出する.算出された粒径,落下速度を用いて降水量推定を行い,降水量推定精度の向上を目的としている.電子天秤を使用して重量により降水量を観測し,これを真値とする.推定された降水量と電子天秤データで回帰分析を行い,決定係数で精度を比較する.本研究では,新庄雪氷環境実験所で行った人工降雪機による室内実験で得られたデータを使用する.  回帰分析の結果,従来の手法では決定係数が0.401であったのに対し,新たな手法では0.476に向上した.また,時間経過による積算降水量を作成したところ,従来の手法よりも新たな手法の方が電子天秤に近い降水量増加挙動を取った.このことから,降水量推定には複雑な粒径,落下速度算出式を用いることで,より高い精度で降水量推定を行うことができると考えられる.