小田桐遼哉 光学式反射型固体降水観測器の降水粒子捕捉特性に基づく降水の時間特性の把握に関する研究 熊倉 俊郎 本研究は、光学式反射型固体降水観測器(PDS)によって観測される降水粒子情報を用い、降水量推定における時間積算スケールの違いが推定特性や誤差構造に与える影響を明らかにすることを目的として実施した。降水量観測は水循環の把握や洪水予測、防災計画の立案などにおいて重要な基礎データであるが、特に冬季における固体降水の観測では、融雪遅れや捕捉率低下などの影響により観測誤差が生じやすいという課題がある。既存の雨量計やディスドロメーターはそれぞれ利点と制約を持つが、PDSは固体降水粒子が反射する光信号を利用して粒子の通過を検出し、降水量推定および降水種別判別を同時に行うことを目的とした観測装置である。特に雪片やあられなどの固体降水の観測に適しており、多地点展開が可能な観測機器として期待されている。 本研究では、PDSで観測された降水粒子の直径および落下速度情報を基に質量フラックスを算出し、粒子質量の時間積算値から降水量を推定した。さらに、粒子直径と落下速度の関係を用いたCMF(Center of Mass Flux)法により降水種別を分類し、その情報を降水量算出に反映させた。解析では、従来の研究で主に用いられてきた5分積算に加え、10分から60分まで複数の時間積算間隔を設定し、時間スケールの違いが降水種別構成比、降水量推定値、および回帰特性に与える影響を比較した。観測データには、新潟県十日町試験地で取得されたPDS観測データを用い、比較対象として田村式降水強度計およびLaser Precipitation Monitor(LPM)の観測結果を参照した。 解析の結果、時間積算間隔を長くするほどPDSによる降水量推定値と基準降水量との相関は向上し、誤差指標も改善する傾向が確認された。一方、短い時間間隔では欠測や微量降水の影響が大きく、推定値のばらつきや誤差が増加することが明らかとなった。また、降水種別の構成比や粒子分布の特徴も時間積算間隔によって変化し、短時間スケールでは粒子数の統計的ばらつきが推定結果に影響することが示された。以上より、PDSによる降水量推定では観測目的に応じて適切な時間積算間隔を選択することが重要であり、本研究はPDS観測の時間特性を整理し、固体降水観測および降水量推定の高度化に資する基礎的知見を示した。