須藤 将丸 低水流出による減水特性と土壌蒸発散の推定に関する研究 陸 旻皎 水資源を確保することは,生活するうえで必要不可欠である.わが国では渇水被害がたびたび報告されている.低水流出の減水特性は減水式で表現され,被圧帯水層からの地下水流出である指数減水式と不圧帯水層からの地下水流出である分数減水式がある.日本列島においては,分数減水式のほうが適切という報告もある.  しかし,この減水式は実際の河川で起きる河川流量の急激な減少や瀬切れを表現しておらず,蒸発散も考慮していない.高木が蒸発散を考慮した減水式を用いて解析した.蒸発散を考慮した減水式では,季節変動する減水定数を,地質などの流域特性より決まる流域固有減水定数と季節変動する蒸発散に分けた.減水式に蒸発散を考慮することにより,河川流量がなくなる時間が求められるようになった.全国55の森林流域において流域固有減水定数について解析した.仮の土壌蒸発散より指数近似を用いて,流域ごとに流域固有減水定数を求められるようにした.  本研究では,求めた流域固有減水定数を用いて蒸発散を考慮した減水式に当てはめ実測値から減水部ごとの土壌蒸発散を求めた.結果,流域固有減水定数に推定値が大きく影響している結果に至った.そこで,推定手法を変更し再度,蒸発散を考慮した減水式の減水定数と土壌蒸発散を同時に推定できるようにした.  減水定数は単一の地質区分ごとに解析をし,従来の減水定数と比較して標準偏差が小さくなり地質区分の割合による推定値と推定値を比較した際には,手法変更前の結果より45度線に沿って分布されていた.複合地質流域の地質区分面積率を用いて,減水定数を推定した際には,手法変更前より 45度線から外れている流域があったが,詳細に確認した結果,これらの流域において抽出されたデータが減水部になっていなかったなどの問題点が見つかった.それらを除けば 45度線 に沿うようになった.また,すべての減水曲線の土壌蒸発散から推定した年土壌蒸発散は降水量の17.1%程度であり,年降水量の20%前後と考えられている年樹冠蒸発量と合わせれば,年蒸発散量が年降水量の約40%で合理的な範囲にある.   以上より,土壌蒸発散を考慮した減水式において減水定数と土壌蒸発散を推定する可能性が示された.