RAHMAT SHUKOOR K0圧密された土の圧縮および伸張変形特性 豊田浩史 近年,地下空間利用の需要の高まりにより,大規模掘削工事事例が増えている.掘削において,地盤応力が減少することにともない,リバウンド現象として知られる,上向き地盤変位が発生する.現在,リバウンド量を把握するため,三軸圧縮単調載荷や繰返し載荷により得られる変形特性を経験的に用いている.しかしながら,これらの変形係数は,伸長方向に膨張する地盤のリバウンドを評価するためには,適切な実験とは言えない.本研究の目的は,伸長方向に膨張するようなリバウンド量を評価するために適切な試験方法を提案することである.地盤の初期状態として,K0状態を再現して,ベンダーエレメント試験,LSS(局所微小ひずみ)試験,せん断強度試験を,圧縮および伸張載荷で行った.用いた試料は2種類(3De-8 (深さ: 8.50 to 9.50 m),3De-21 (深さ: 21.50 to 22.50 m))であり,供試体は不撹乱試料と再構成試料を準備した.正規化した割線せん断剛性率のひずみ依存性の傾向は,不撹乱と再構成試料の比較で,圧縮載荷,伸張載荷とも同様であった.つまり,割線せん断剛性率のひずみ依存性の傾向を求めるために,不撹乱は必要なく,再構成試料で良いことがわかった.しかしながら,大ひずみとなると,不撹乱試料は再構成試料より,脆性破壊(より小さいひずみで破壊)を示すことに注意する必要がある.また,リバウンド量を評価するために,圧縮載荷は伸張載荷より,リバウンド量を過大評価してしまうことがわかった.