島 海斗 令和6年度能登半島地震時の新潟市周辺での津波避難行動についての研究 犬飼 直之 2024年1月1日16時10分に,マグニチュード7.6を観測する令和6年度能登半島地震が発生した.震源地は石川県能登地方(輪島の東北東30キロメートル付近)で,震源の深さは16キロメートルであった.最大震度は石川県志賀町,輪島市で震度7,新潟市では震度5強を観測した.この地震により,16時22分に気象庁より石川県能登に大津波警報,山形県,新潟県上中越,佐渡,富山県,石川県加賀,福井県,兵庫県北部に津波警報,北海道や九州にも津波注意報を発令し,石川県金沢で80センチメートル,新潟県新潟では31センチメートルの津波が観測された.この地震では新潟市に津波警報が発表されており,新潟県内では38,515人,新潟市では一時的に14,187人が避難したとされている.また,2019年の山形沖地震の際にも,同じく新潟県で津波が観測されており,新潟県内で7000人以上が避難したとされている.これからも新潟県の沿岸部では津波被害が発生する恐れがあることから,より一層避難意識の向上が必要になってくる. 本研究では,今回の地震で発生した津波警報で新潟市の住民は避難の可否についてどのように考えどのような行動を取ったのかを,学校を通じたWebアンケート(Googleフォーム)を利用し調査する.そこで得られた回答から防災意識の向上や課題の抽出に繋げていくことを目的とする.また山形県沖地震や中越沖地震時のアンケート結果と比較をし,新潟市民の避難意識の向上に有無やその原因を考察する.本研究で利用したアンケートから新潟市民の避難率や避難時に困ったこと,地震や津波の情報源,避難訓練に対する要望などの回答を得ることができた.山形県沖地震や中越沖地震と比較することもでき,今回の能登半島地震の方が避難率が高いことがわかった.また,クロス集計により海岸からの距離と事前対策の関係性を調べ,新潟市全域で7割を超える事前対策が行われていた.これらのことから,新潟市民の避難意識は山形県沖地震や中越沖地震の際と比べると,向上していると考察することができる.また,防災訓練に関する要望では小中学生たちの防災意識向上に関する要望が多く,これらを達成することでより避難意識の向上につながると考えられる.