バダラフ バトビレグ 地震地斜面崩壊の地形特性に関する事例研究 大塚 悟  本研究は,地震によって発生した地すべりに関する調査を行い,日本で発生した2004年の新潟中越地震と2024年の能登半島地震に焦点を当てている.主な目的は,地質的な要因や震源断層線からの距離がどのように地すべり発生に影響を与えるかを明らかにすることである.  本研究では,両地震に関連する地すべりの事例を調査し,GIS(地理情報システム)技術を用いて,地すべりの発生地点とその震源からの距離により影響を分析した.結果として,震源断層線からの距離と地すべり発生の間に強い相関があり,0~2kmの範囲で最も高い発生率が見られ,距離が増すにつれて発生率が減少することが分かった.  さらに,本研究では,地すべり地形内の地域とそれ以外の地すべり外の地域の発生率を比較した.地すべり地形内では,過去に地すべりが発生した場所や不安定な斜面が多く,地震後に地すべりが発生しやすい傾向があった.一方,地すべり地形外の地域は比較的安定しているものの,極端な状況下では地すべりが発生する可能性もある.また,地すべり発生率は,各地域における地すべりの面積をその地域の総地質面積と比較することで算出した.  地質的な違いも地すべりに大きな影響を与えることがわかり,泥岩と砂岩の互層および砂岩のような異なる地質では,深層崩壊が多く見られる一方で,安定した地形では表層崩壊が発生しやすいことが示された.  これらの結果は,地震による地すべりのメカニズムをより深く理解するための示唆を提供し,地震後の災害予防やリスク評価に貢献することである.