HASHIZUME LUJAN ALEX KAZUO 橋梁形状に応じた飛来塩分作用の定量評価 中村 文則 海から運ばれる飛来塩分は、橋梁の部位や部材ごとに付着量が異なるため、その劣化の程度に大きく影響を与えることが知られている。したがって、劣化過程を正確に予測するために、その境界条件となる構造物表面に到達する飛来塩分を事前に予測する必要がある。そこで、本研究では、実際に建設された橋梁を基に、様々な桁橋の断面に応じて数値解析により付着した飛来塩分を定量的に評価する調査を行った。本研究の解析手法は、2段階に分かれている。第一段階ではオープンソース・ソフトウェアであるOpenFOAMを用いて、桁橋断面の近傍の風速の流れを解析した。そして、第一段階で得られた風速場を用いて、第二段階では粒子拡散手法の一種であるランダムウォーク法を用い、飛来塩分の移動を解析した。 本研究の解析の妥当性を確認するためには、結果を実験データと比較するための実験である.設置した模型は、青海川橋の1/6縮尺模型であり、実験施設の中に設置した.施設の寸法は、長さが9.0m、幅が2.0m、高さが2.0mである。中央部は断面の寸法が幅0.9m、高さ2.0mの測定領域である。風速を約3.5m/sに設定し、熱線式風速計を4台使用し、模型周辺の風速を各測定点で移動させる手法で測定を行った。解析において、この実験を再現するために、解析領域の寸法が一緒となっている。実験と解析の結果を比較し,誤差が存在するものの、両方で観察される全体的な流れパターンは一貫している。したがって,解析の信頼性が確認された.モデル近傍では風速が低下する傾向が観察される。また、橋桁上部のでは、大規模な渦が発生し、風速は2.5m/s程度に達することが観察される。同様に、橋桁下部では主桁の間で渦が発生し、風速は1.0m/s程度となり、風が吹いていると反対側の風速がより大きいことがみられた。風速場を用いて、塩分の付着の解析を行った。 断面が異なるモデル1−モデル8の解析を行い、モデル1から4では、主にモデルの後部に塩粒子が蓄積しているが、より滑らかな空気流パターンのモデル5はより均等な分布を示している。モデル6と7では、空気流に渦が存在した前後の領域を除いて、目立った塩粒子の蓄積は少ない。 結論として、モデル全体やその下部に付着する塩分量には大きな違いがなく、代わりに、主な違いは、特定の領域に塩分が蓄積することがわかりました。