岩崎 真也 砂粒子配向性に着目した三軸試験と振動台試験による液状化強度の比較 豊田 浩史 一度液状化した緩い砂地盤は,その後,排水を伴って密になる.したがって,液状化した地盤は,液状化しにくくなると考えられる.しかし,実際には,過去に液状化した地盤が再液状化した事例が数多く報告されている.その報告の中には,以前に液状化した地震よりも小さい地震で再液状化が発生した事例も示されている.例えば,2011年2月のクライストチャーチ地震によって,2010年9月の地震と同じエリアで液状化が起きたと報告されている.このような事例から,一度液状化が発生しても,液状化しにくくなるとは言い切れない.再液状化に関する既往の研究では,砂質土は液状化後,排水によって密度が増加したにもかかわらず,液状化前よりも著しく液状化しやすくなるという現象が示されている一方で,砂質土は液状化履歴を受ければ液状化しにくくなるという報告も存在する.飽和砂地盤における再液状化時の液状化特性を明らかにして,それらを液状化危険度評価に組み込まなければいけない. 本論文では,上記の趣旨に基づき,粒子配向性の観点から液状化強度の検討を行った.三軸試験だけで無く,実地盤に近い状態を再現するために模型振動台試験も実施し,各種液状化強度を調べた.まず,振動台試験であるが,液状化強度は粒子配向性90°が最も小さく,液状化によって元の粒子配向性は90°方向へ変化することが明らかとなった.これにより,液状化履歴によって飽和砂地盤は液状化に対し,脆弱な堆積構造へ変化する傾向が示された.また,信濃川河川敷(新潟市中央区)における液状化層の不攪乱試料採取では,液状化層試料の粒子配向性が90°方向へ集中する傾向が確認され,振動台試験結果と一致する傾向が示された.この結果より,液状化により粒子配向性が発生して,再液状化強度に影響を与える要因であることが明らかとなった.三軸液状化試験においても,同様の液状化による粒子配向性変化が確認された.しかしながら,液状化強度に関しては,粒子配向性90°が最も大きくなり,模型振動台試験と逆転する結果が得られた.これは,試験条件の違い(繰返しせん断応力の方向)が結果に影響していると考えられる.以上より,液状化試験は,実際に近い繰返し応力を作用させる必要があることが示された. た.