竹﨑智紀 再生骨材の品質と配合率が再生アスファルト混合物のひび割れ抵抗性に及ぼす影響に関する研究 高橋修 近年では,製造されるアスファルト混合物のうち7割以上が再生アスファルト混合物(以下,再生混合物)であり,再生骨材の配合率も高配合率化の傾向となっている.このような高い製造割合と配合率によって再生骨材が繰返し再利用されることで品質が低下し,品質基準を満足しない基準外再生骨材が増加している.そのため,基準外再生骨材を再生混合物の資材として有効利用することが求められている.先行研究では,基準外再生骨材を高配合率で再生混合物に使用するために,製造面および配合設計面について検討を行い,再生混合物の新たな配合設計手法を考案した.しかし,この配合設計法は,煩雑で多くのコストと時間を要することから実用的ではない. そこで本研究では,この課題を考慮し,配合設計法の変更は行わずに,再生骨材の品質ごとに配合率を変更することで基準外再生骨材を再生混合物の資材として有効利用できないか検討を行った.再生骨材の品質を3水準,再生骨材の配合率を4水準変化させ,これに2種類の再生用添加剤を組み合わせて再生混合物を作製し,直接引張試験により再生混合物のひび割れ抵抗性に及ぼす影響について評価した.その結果,再生骨材の品質が低下するほどひび割れ抵抗性も低下することを確認し,旧アスファルトの針入度が13(1/10mm)では,再生骨材配合率60%でもひび割れ抵抗性は新規混合物と同等まで回復し,旧アスファルトの針入度が8(1/10mm)では,再生骨材配合率30%まではひび割れ抵抗性が新規混合物と同等まで回復することがわかった.再生用添加剤が再生混合物のひび割れ抵抗性に及ぼす影響は小さく,再生用添加剤の組成よりも再生骨材の品質による影響が大きかった.また,加熱促進劣化を施した再生混合物の供試体も作製し,ひび割れ抵抗性を評価したが,再生混合物は再生骨材の品質や配合率に関わらず,新規混合物よりひび割れ抵抗性が低下することを確認できた. 以上の結果から,基準外再生骨材の品質ごとに配合率を調整することで新規混合物と同等まで性状を回復することが可能と考えられる.しかしながら,再生混合物は新規混合物よりも劣化しやすい傾向が認められたため,一概に適正に配合した再生混合物は新規混合物と同等のひび割れ抵抗性を有しているとは言えない.すなわち,基準外再生骨材を使用した再生混合物は,初期においては新規混合物と同等のひび割れ抵抗性を有しているが,経年劣化が進行すると同等のひび割れ抵抗性は期待できない.