佐々木 星紀 改良型エラストマーを使用した改質アスファルトの性能評価に関する研究 高橋 修 わが国では,高度経済成長期以降に基本的かつ重要な社会基盤施設が増加しているなかで,道路舗装が優先的に整備されてきた.わが国ではアスファルト舗装が主に採用されており,その割合は都道府県以上の管理による道路で95%以上を占めている.アスファルト舗装は長期間の供用により,ひび割れやわだち掘れなどの損傷が生じる.アスファルト舗装の損傷の要因は,アスファルトの劣化や老化,水分の凍結融解など多岐に渡る.これらの要因によってアスファルト舗装の損傷が顕著になると,更新工事を行うことなり,現在,更新工事では多くのアスファルト廃材が発生して問題視されている.そのため,更新までの期間が長くなるような高耐久なアスファルト舗装が求められる. アスファルト舗装に高い耐久性が求められる場合には,日本改質アスファルト協会の規格に基づき,交通量や気象条件などに応じて,アスファルトバインダにエラストマーやゴムなどのポリマーをストアスに添加したポリマー改質アスファルト(以下,PM-As)が用いられる. 近年では,様々な種類のPM-Asが開発されているが,既往のポリマーよりも高耐久性を見込んで開発された新型エラストマーを使用したPM-Asが試作されている.この新型PM-Asは,バインダーレベルの評価で既存のPM-Asよりも熱劣化に対する耐久性が高いことが事前の検討で確認されている.しかし,アスファルトコンクリート(以下,アスコン)ベースでの性能が検討されていない.そのため,新型PM-Asを用いたアスコンの道路舗装材料としての性能を評価することが求められている. そこで,本研究では,既往のポリマーよりも高耐久性を見込んで開発された改良型エラストマーの改質効果が,アスコン物性にどのような効果を及ぼし,耐久性にどの程度寄与しているのか定量的に評価することを検討した.ここで検討した改良型エラストマーには,水添と変性の二つの技術が使用されている.水添には耐熱劣化抵抗性を向上させることを,変性には塑性流動抵抗性やひび割れ抵抗性,耐水性の向上させることが期待される.これらの性能を評価するため,水添と変性の有無を施したPM-Asアスコンの性能評価試験を行った. 比較検討の結果,改良型エラストマーを添加したPM-Asは,アスコンの塑性流動抵抗性やひび割れ抵抗性を向上させることが分かった.特に,塑性流動抵抗性には変性技術が,未エージングの状態のアスコンのひび割れ抵抗性には水添技術が有効であることが分かった.また,二段階の熱劣化エージング後におけるひび割れ抵抗性の評価試験から,各熱劣化段階において,既往のPM-Asと比較して,水添と変性の両方の技術を使用したアスコンが最も性能が高いことが分かった.このことから水添と変性の両方を施すことがPM-Asアスコンの破壊抵抗性の向上に重要であることが分かった.