岩崎 友哉 繰り返し再生を考慮した旧アスファルトの再生方法に関する研究 高橋 修 我が国では循環型社会の実現に向け,アスファルト混合物の再生利用が継続的に行われている.混合物全体に占める再生混合物の製造比率は年々増加しており,近年では7割以上の高水準となっている.その一方で,繰り返し再生利用による再生骨材の品質低下が問題となっており,品質基準を満たさない基準外再生骨材が増加している.このような状況において,現在の再生比率を維持するためには,基準外再生骨材も再生混合物に資材として有効利用していくことが必要であり,今後においては旧アスファルトの繰り返し再生方法について検討する必要がある. 現行の品質基準には,柔らかさの指標である針入度が使用されており,劣化によって低下した針入度を再生用添加剤によって新規と同程度に回復させる方法が広く普及している.しかし,我が国で一般的に使用されているナフテン系の再生用添加剤を過度に添加した場合や繰り返して使用した場合は,旧アスファルトの柔らかさは回復しても,骨材粒子をつなぐ粘結力は十分に改善されず,その再生アスファルト混合物で構築した舗装は早期にひび割れが発生しやすくなることが知られている.そこで本研究では,一般的に運用されている再生用添加剤に対してアスファルトの性状を向上させる高分子材料(以下,ポリマー)を加えた特殊な再生用添加剤を使用し,繰り返し再生利用を考慮した旧アスファルトの再生方法について検討した. 添加用のポリマーとして,物性の異なる9種類を使用し,ポリマーの違いによる再生効果について評価した.添加剤の物性および配合率によって再生効果が異なり,適当な組み合わせで配合することで高い回復効果が得られることを確認した.繰り返し劣化・再生時における複合型再生用添加剤の影響について,ポリマーを適正に加えることで通常の再生方法と異なる疲労破壊抵抗性の回復効果が確認できた.また,繰り返し再生に伴うポリマーの過度な添加により,性状の低下が確認でき,繰り返し再生における配合量について知見を得る事が出来た. 以上の結果から,ナフテン系の一般的な添加剤に特定のポリマーを配合することで再生効果の向上が可能であり,ポリマーの配合量を調整することで繰り返し再生利用にも対応できることを明らかにした.