高木健太 豪雪に伴う停電時の備えに関する研究 松田曜子准教授 近年,我が国では自然災害が激甚化しており,各地で甚大な被害をもたらしている.時には,自然災害がきっかけとなってライフラインが寸断されることがある.特に豪雪に伴う停電は,雪の降り方の変化や高齢化の進行などの理由から発生すると深刻な状態になることが想定される.本研究では2022年12月に新潟県長岡市内で発生した豪雪に伴う停電に着目し,この停電の際の困りごとの把握を行い,さらに,豪雪を起因としない一般的な停電時との比較を踏まえ,豪雪に伴う停電時の備えについて考察した. コミュニティセンターや町内会長を対象としたヒアリング調査では,2022年12月に発生した停電はこれまでに経験がなく,想定外のものだったことが明らかになった.通信インフラも倒木の被害を受け,電話連絡が基本である町内の危機対応の系統が機能しなかったほか,市からの安否確認の電話にも十分に出られず,孤立した状況であったことが明らかになった. 停電が多かった大積町2・3丁目を対象としたアンケート調査では,配偶者や親(義理を含む),子との同居が多く,全体の約4分の3の世帯が70歳以上の高齢者と同居しているという地域の特性が明らかになった.2022年12月に発生した停電については,全体の約9割が停電発生から24時間以降も停電が続いていたなど,長期的なものであったことが明らかになった.困り度については,停電に関する情報の入手や風呂,照明の他,寒さ対策などが高い傾向にあり,冷蔵庫・冷凍庫の困り度は低かった.新たに必要だと思った備えについては困り度評価との関連が見られた. 豪雪に伴う停電時の備えについては,一般的な停電時の備えである照明やモバイルバッテリーなどに加え,特に寒さ対策と除雪関連の備えが重要であると言える.寒さ対策では備えやすさの観点から石油ストーブやカイロなどが有効と考えられる.豪雪時は除雪が進まないと避難や買い物などが難しく,特に高齢者にとっては大きな負担になる.よって,スコップ以外の除雪道具の備えが重要であると考えられる.また,近隣住民との助け合いといった人との協力も必要不可欠であると考えられる.特に高齢者が多く居住している地域については,高齢者への負担を軽減するためにも,積雪時の防災訓練など地域に沿った防災の取り組みを進めていく必要がある.