木歩士理来 LiDARセンシング技術を活用した除雪パトロールの高度化に関する検討 高橋一義 豪雪地帯では生活していく上で除雪作業が必要である.しかし,少子高齢化とともに除雪オペレータの減少が問題であり,除雪業務全体の効率化が必要である.長岡市では除雪パトロールで路面状況の調査や積雪深計測を行い,パトロール結果を基に除雪車の出動判断を行っている.除雪作業はICT化の研究により効率化が進んでいるが,除雪パトロ―ルでも効率化や省力化が必要となっている. 本研究ではLiDARセンシング技術が除雪パトロールの積雪深計測を簡易化,高度化に活用できるデータを取得できるのか検討する.まずは安価なMMSであるN-Quickに着目し,N-Quickで記録する積雪断面形状の評価を行った.積雪面に沿ってRTK測位を行うことで記録した積雪断面形状と比較した.結果として急斜面を除いて同様の積雪断面形状を取得できていた.しかし,N-QuickはMMSとしては安価であるが,高コストで運用が難しいのが問題である.そこで,低コストでデータの共有が容易であるiPhone LiDARに着目した.3地点にてiPhone LiDARで記録する積雪断面形状をN-Quickで記録する積雪断面形状と比較した.結果として2地点では計測位置から離れるほど両点群の標高差が大きくなった.N-QuickではGNSS/INSで姿勢補正をしていることからiPhone LiDARで正しく水平面が再現できていない可能性が考えられる.路面位置周辺の1mの範囲で積雪深差を算出したところ1地点で7cm程度の誤差,2地点で1~3cm程度の誤差で起伏を取得できていた.除雪業者の方へのインタビュー結果ではN-Quickで記録する点群から求める積雪深と実測した積雪深を比較した場合の許容誤差が3~5cm程度であったことから計測位置から1m程度の範囲であれば面的な積雪状況を把握できる可能性があると考えられる.これらの結果を踏まえてiPhone LiDARで記録する点群の比較対象としてN-Quickより計測精度が高いTLSで点群を記録し.両点群の断面を比較することでiPhone LiDARの計測精度を評価した.結果として計測位置から離れるほど標高差が大きくなり,iPhone LiDARで正しく水平面を再現できていないことが示唆された.iPhone LiDARは除雪パトロールの実施から除雪車出動までのタイムラグを減少できることが期待できる.しかし,iPhone LiDARで水平面を正しく計測できるような計測方法の考案が必要と考えられる.