市原 直人 時系列衛星画像データセットを利用した土地被覆変化箇所の自動判別に関する研究 高橋 一義  本研究では,事前にニューラルネットワークデータセットを作成し時系列観測データセットを解析し続けることで,土地被覆変化が発生した時に自動的に土地被覆変化を判別できるのではないかという考えの下,時系列観測データセットを用いた土地被覆変化箇所の自動判別について検討することを目的として,土地被覆の特徴を学習した畳み込みオートエンコーダによる土地被覆変化判別を行った.  まず判別結果の基準として従来手法である差分解析を用いた土地被覆変化判別を行った.また,予備検討としてニューラルネットワークデータセットによる出力画像の再現度を向上させるための学習データの検討および,土地被覆変化とSSIMの対応関係について検討を行った.これら検討によって複数地域の土地被覆情報を学習データに使用する事で画像の再現度が向上することや,土地被覆変化が発生すると変化前に比べて変化後の出力画像のSSIMが低下することが明らかになった.これらを踏まえて入力データと学習データを変更させた畳み込みオートエンコーダを用いた土地被覆変化判別を行い,従来手法や既往研究と比較して事前に作成したニューラルネットワークデータセットの判別性能について検証した.  この結果今回作成したニューラルネットワークデータセットは既往研究,従来手法の判別結果に及ばなかったものの,学習データに対象地が含まれているニューラルネットワークデータセットに関してはそれら手法に迫る判別結果となった.このことから事前に作成したニューラルネットワークデータセットによる土地被覆変化判別について適用の可能性を示すことが出来たと考える.しかし,対象地のデータが学習データに含まれていないニューラルネットワークデータセットの場合,低い判別結果を示した.これは,土地被覆変化前後の出力画像でSSIMに大きな差がみられなかったことが原因であると考えられる.また,本研究で提案した手法は閾値によって判別結果が変わることから,より適切な閾値の設定方法や,使用する学習データの改善が望まれる.