北園和磨 2021年・2022年に発生した福島県沖地震・宮城県沖地震で観測された地震波の周波数特性の分析 池田隆明 日本では毎年多くの被害地震が発生することから,そこからの被害を減らすことは重要な課題であると考えられる.特に地震によって生成される地震波は,建物に大きな影響を与えることから,地震波の観測記録に含まれる周波数特性を理解することは今後発生が想定される大地震による被害の可能性を検討する上で必要であり,その周波数特性を理解することによって大地震の地震発生後だけでなく,地震発生前においても建物の対策に繋がると考えられる. そこで本研究では,2021年と2022年に発生した,被害をもたらしたマグニチュード7クラスの大地震で観測された記録を解析し,その記録の持つ周波数特性の分析を行った. 観測記録の周波数特性を分析する手法としてはランニングスペクトルを用いた. ランニングスペクトルの計算には,2022年・2021年福島県沖地震と2021年3月宮城県沖地震と2021年5月宮城県沖地震の4つを対象に,解析の対象地点であるK-NET仙台(MYG013),新宿(TKY007),長岡(NIG017)地点で観測された記録を強震観測網(K-NET,KiK-net)からダウンロードしたパラメータを使用した.ダウンロードした観測記録は強震動ツールSMDA2を使用して解析した.解析結果は,震源特性が違うスラブ内地震(福島県沖地震)とプレート境界地震(宮城県沖地震)で,破壊伝播方向の違い等が周波数特性にどう影響を与えるか考察を行った. 解析結果から,スラブ内地震(福島県沖地震)では,破壊伝播方向が違ってもランニングスペクトルの傾向は同様ものになった.このことから,破壊伝播方向の違いは,周波数特性にほとんど影響を与えないことが分かった. 本研究では,観測点を仙台(MYG013)・新宿(TKY007)・長岡地点(NIG017)に着目し,そこで記録が得られた4つの地震を対象に解析を行った.今後,より詳細な周波数特性の分析を行うためには,より多くの到来方向や規模の異なる地震の数を増やして解析を行うことが重要だと考えられる.