富士本南美 振動台試験による粒子配向性に着目した液状化強度 豊田浩史  2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により,関東地方を中心に液状化や再液状化が確認された.液状化の過程で緩い砂地盤の間隙は減少するため,一度液状化した地盤は密になり,液状化しにくくなると考えられている.しかし,実際に再液状化が発生した事例は多く報告されており,再液状化のメカニズムは今もなお不明である.ここで本研究では粒子配向性に着目し,模型振動台試験にて粒子配向性で液状化強度がどう変化するか,液状化前後での粒子配向はどのように変化するかについて検討する.そして,振動台試験より再液状化強度を評価し,再液状化のメカニズムの解明に寄与することを目的とする.  本試験では完全密封型土槽を開発し,真空及び脱気水の通水により飽和を促進させた.試料の配向を0°,45°,90°としそれぞれの角度について液状化前後を含む6ケースを行った.マイクロスコープで配向性を撮影し,各ケースにおいて約1200粒の粒子角度を測定した.クーレーの公式より代表角及び集中度を算出した.供試体を作製する前に深さ5cm,14cm,28cmの3ヶ所に設置した水圧計の結果より,液状化の有無及び液状化強度を検討した.  以下に本研究によって得られた知見を示す. ・目視及び水圧計の結果より液状化が発生したことが確認できた. ・配向0°,45°,90°すべてのケースで液状化により粒子の配向が90°付近へ近づいたことが確認できた.どのケースにおいても液状化後には集中度が高くなっており,ランダムな方向を向いていた粒子が液状化によって向きが揃ったといえる. ・TOP,MIDDLE,BOTTOMにおける高さ方向の場所ごとに粒子配向に違いは見られたが,奥行き方向に関する違いはさほど見られなかった. ・水圧計の結果から液状化強度を比較することができるが,本研究では完全飽和ができているか不明であったために信頼できるデータは得られず,液状化強度の判断はできない.