塚田千広 液状化によるセメンテーション破壊と密実化が再液状化に及ぼす影響 豊田浩史 東北地方太平洋沖地震において,埋立地盤で年代効果の影響により液状化や再液状化の被害に差があると報告されている.被害報告によれば,新たに液状化が発生した地点だけでなく,過去の液状化発生地点と同一地点でも液状化が発生する再液状化現象が確認された.しかし,一度液状化した地盤は,排水を伴って密になるため,液状化しにくくなるといわれており,再液状化のメカニズムは明らかにされていないのが現状である.既往の研究により,実際の地盤の年代効果を再現するためにセメントを添加させると,液状化強度とせん断剛性率ともに上昇するという結果が報告されている.さらに,再液状化強度は,液状化履歴の程度によって変化するという結果が得られている. 本研究では,セメントを添加した年代効果再現試料において,液状化強度と相関のある力学的特性を特定することを目的とする.そこで,この目的のため,様々なひずみ領域を対象とする力学試験を実施した.大ひずみ領域に対しては強度試験,微小ひずみ領域に対してはベンダーエレメント(BE)試験,中ひずみ領域に対してはひず局所ひずみ測定(LSS)試験を実施し,比較検討を行った. 得られた知見を以下に示す. ・液状化に伴う密実化には,液状化履歴による違いがあり,履歴が小さい場合では3.0%,履歴が大きい場合では7.5%の相対密度の増加が見られた.一方で,密度上昇による液状化強度の上昇は無く,再液状化には密度以外の要因が関連している ・せん断強度は,密実化とセメンテーション破壊の影響が関連している ・微小ひずみ領域における初期せん断剛性率はセメント添加による土粒子間の固結により上昇する.また,液状化履歴の大小によりセメンテーションの破壊の程度は異なる ・中ひずみ領域の検討結果から,割線せん断剛性率の減少傾向は液状化履歴により異なる ・せん断ひずみ0.005%付近における割線せん断剛性率が,液状化強度と相関がある