高松 慶汰朗 新潟県内の河川での水難事故の発生状況の把握 犬飼 直之  新潟県では2000年から2022年までに,約110件近い水難事故が発生している.本研究では新潟県内で発生した河川での水難事故の特徴を把握するとともに,粒径調査,危険度把握から事故発生要因を考察し,新潟県内の今後の河川水難事故防止のための知見を得ることを目的とする. 新潟県の河川水難事故で報道された件数は2000~2022年で全30件である.事故者の年齢は成年が40%,高齢者が27%,未成年が33%である.抽出した11河川のうち,水難事故者が魚野川で30%,信濃川で23%,阿賀野川で10%であった.主要因として,釣行中11件,作業中11件,その他(散歩等)13件発生している.そこで河川危険箇所を流れが速い場所での事故と足元が不安定な地形での事故の2種類とした.河川危険度把握のため,水中でかかる水平力把握,粒径を用いた安息角の比較,水位と流速から求める避難度より新潟県内河川の危険箇所の検討を行う. まず,水平力を算出した.河川瀬部において成人男性にかかる水平力は流速2m/sで約30kgである.次に淵部において成人男性にかかる水平力は流速2m/sで約160kgである.流速2m/s以上の河川は危険度が高いことが把握できた.次に採取してきた底質をふるい分け試験より中央粒径を計測した.中央粒径より,水中安息角・侵食・堆積流速を算出した.白石川の中央粒径d50は0.55mmで安息角は27°〜33°であった.多摩川の中央粒径d50は2.80mmで安息角は30°〜35°であった.中間川の中央粒径d50は1.35mmで,安息角は28°〜34°であった.魚野川は代表粒径より中央粒径d50は40mmとし,安息角は30°〜36°とした.魚野川の粒径と安息角は他の河川より大きいことが把握できた.最後に新潟県内河川危険箇所を判断した.魚野川の支川を上流域及び下流域に分け河川内を瀬と淵に分類し,二次元画像から水位と流速を判断した.判断した水位と流速から,避難時における危険度指標を基に分類した.上流域では,三国川・佐梨川が安全に避難行動を取れる水位と流速を有し,水無川と大源太川は避難には危険な場所であると判断した.下流域では,三国川と大源太川が安全に避難でき,佐梨川と水無川が危険であると判断した.上流域又は下流域では安全に避難できる場所であっても,どちらも安全に避難できるとは限らないことが把握できた.また,水量によって水位と流速が変化するため,急な天候悪化やダムの放水などで危険度が変化していくことが考えられる.