木津 俊輔 防波堤に作用する波力・波圧の構造物特性に関する研究 細山田 得三  防波堤は,外洋から打ち寄せる波を防ぎ,港湾の内部を安静に保つことや,津波や高潮の被害から陸域を守るために設置されている.本研究では数値波動プログラムCADMAS-SURFを用いて様々な条件で数値解析を行い,防波堤の設計計算に用いられている合田式と比較することを目的とする.また,CADMASに対して他の要素を加えた際に,合田式からどのように値が変化するのか,CADMASでどのように表現し,評価できるのかを調べる.  本研究では押し寄せる沖波波高の大きさを変化させ,直立堤の水面から天端までの距離を変化させた際の波圧の変化の比較と,ケーソンの前面に高さの異なる消波ブロックを設置し,波高の変化や衝撃砕波圧による波高の変化を求めた.比較する位置は水深面での波圧,堤防の底面の波圧,堤防の天端地における波圧とする.水面から天端までの距離は2.0m,3.0m,4.0mの3パターンとし,沖波波高は通過波検定を行い,6つのケースを用いる.また,消波ブロックの高さ位置は8.0m,12.0m,16.0mとする。  合田式より求めた水深面での波圧,堤防の底面の波圧,堤防の天端地における波圧を天端までの距離ごとにそれぞれ求めた結果,堤防の水深面での波圧と堤防の底面の波圧は変化しなかった.しかし,堤防の天端地における波圧は天端までの距離が大きくなるにつれて波圧が小さくなることが分かった.また,CADMAS-SURFとの比較を行った結果,水深面での波圧と堤防の天端地における波圧は理論値に近い結果は得られなかったが,それぞれの波圧が大きくなると合田式寄りになることから,合田式が安全気味に設計計算されている可能性を把握することが出来た.  消波ブロックを設置し,波高と波圧の変化を求めた結果,消波ブロックの高さ位置16.0mは波高が減少しており,消波ブロックが作用していることが分かる.一方で,高さ位置8.0mの際はケーソンのみの場合と比較してほぼ変化しなかったため,波高に対して消波ブロックの効力は高さが関係すると考えることが出来る.また,消波ブロックの高さ位置が8.0m,12.0mの際,堤防の天端地における波圧がケーソンのみの場合よりも大きくなった.このことから,消波ブロックの被覆度合いによって波圧は変化し,今回のように逆に大きくなると考えることが出来る.