小林友博 グラベルパイルによる砂質地盤の締固め効果に関する室内試験 大塚悟  近年,地震被害において宅地の液状化被害が問題視されている.本研究では,宅地地盤の液状化対策としてグラベルパイル工法(以降,GP法と記す)に着目をした.GP工法とは液状化対策効果として,締固め効果および排水効果が期待され,単一工法より経済的で大きな効果を見込める.しかし,現在の日本建築学会指針では,砂質地盤においてGPの液状化対策効果を締固め効果で評価しているが,定量的な評価はされていないという問題がある.この問題を踏まえ既往研究では,設計指針構築を目的として,東北珪砂6号を使用して砂質地盤を作成し,GP格子状打設時における貫入試験を行った.その結果,未改良地盤から得られたデータを締固め効果の定量的検討の指標とし,改良地盤のデータと結び付けることで,初期相対密度-換算相対密度の関係を示した.上記の関係より,相対密度の条件を満たすためにどの程度の改良率でGPを打設すればよいかを知ることができ,施工する際の指標になると考える.本研究では,東北珪砂6号よりも平均粒径が小さい東北珪砂7号で砂質地盤を作成し,GP格子状打設時における貫入試験を行った.本研究と既往研究の結果を比較することで,締固め効果の特性に違いがあるのかを検証すると共に,宅地地盤の設計指針を構築することを目的として模型実験を実施した.本研究の結果を示す.東北珪砂6号および 7号の初期相対密度-換算相対密度の関係より,粒径が均一という条件の下では,GPによる締固め効果は同じ傾向にあるため,同程度の締め固め効果が得られると推察した.また,地盤の相対密度が75%程度になると貫入抵抗比は一定の値をとるため,締固め効果には限界が存在することが判明した.よって本研究の成果より,相対密度の条件を満たすためにどの程度の改良率でGPを打設すればよいかを知ることができることに加えて,無駄なく効率の良い施工ができるようになることに期待したい.今後の課題としては,相対密度を変化させた液状化強度試験が必要である.本研究で得られた成果をグラベルパイルによる液状化対策に適用するには,相対密度を変化させた液状化強度試験により,目標とする地震動に対して液状化を防止する相対密度の目標値を決めなくてはならない.相対密度の目標値を定めることで,本研究の成果よりGPの設計改良率が求まると考える.