金子泰士 砂質地盤における直接基礎の偏心鉛直載荷支持力 大塚悟 平成29年の道路橋示方書における偏心傾斜荷重を受ける直接基礎の安定照査では,マクロエレメント理論に基づいた支持力曲面式によって鉛直力V・水平力H・曲げモーメントMの組合せ荷重と極限支持力との関係を評価し,マクロな視点で基礎・地盤の支持力・変位を評価している.単調な静的載荷実験,繰返し載荷実験及び振動模型実験の結果に基づき検証されたが,砂質地盤への適用性が明確でないこと,基礎幅が支持力に及ぼす寸法効果の定量的な検討不足や組合せ荷重の単純事例しか検討されていないこと等,支持力式の適用範囲に対して多くの課題がある,また,道路橋示方書の支持力式は大規模模型実験に基づいて提案されているため,複雑な荷重方式や地盤条件に対する適用性は明らかではなく,特に偏心荷重を受ける直接基礎に関する実験的検証は鉛直荷重にと比較して,実験数が著しく少ない.本研究では,複雑な荷重条件でも検討が可能である数値解析に着目し,剛塑性有限要素法(RPFEM)による2次元解析を用いて,砂質土及び粘性土における偏心鉛直荷重を受ける基礎の極限支持力について検討した.偏心鉛直荷重が極限支持力に及ぼす影響と,偏心量を変化させた場合の破壊メカニズムを解析した.しかし,RPFEMを用いた数値解析によって提案された支持力式の適用性の検証は模型実験による検証が必要である.したがって,本研究は小型模型実験(中心鉛直載荷試験及び偏心鉛直載荷試験)とRPFEMによる数値解析を実施し,極限支持力の比較を目的とした.模型実験では緩い地盤と密な地盤において実施し,数値解析は模型実験と同条件で実施した. 数値解析と小型模型実験の比較は,中央載荷において実験結果に明確なピーク強度が得られず,基礎の沈下に伴う土被り圧の増加が生じて,降伏点を定義できるものの破断点を定義できない問題が生じた.一方,偏心載荷の場合にはピーク強度を示して支持力は明快に定義できた.相対密度によらず数値解析による支持力は概ね合理的であることが示された.小型模型試験は比較的応力で試験方法の影響が大きいことから,数値解析との比較では更なる試験精度の向上が必要である.