栫 笑璃 AHPを用いた道の駅の施設評価と拡充方策の検討 佐野 可寸志 本研究は,道の駅の需要と供給の両方の側面から道の駅の評価を行う.道の駅の施設供給に関する評価値の算定を行い施設の評価を行う.また,需要に対して施設提供が足りない機能に関して,道の駅供給点数が需要と同様まで向上するための拡充整備についての検討を行う. まず,道の駅が提供する施設の状況確認と,整備の際に重要視する機能や施設の把握を行うために,道の駅管理者アンケートを実施した.その結果,整備目的に関しては「立ち寄り型」と「滞在型」の利用者を重点に置いた整備を重要としている道の駅管理者が多くなった.しかし,ETC2.0の数的データと比較すると,利用実態と重点を置いている利用タイプの異なる道の駅が全体の半数弱を占める結果となった.施設重要度の算出について,AHPを用いて分析を行った.その結果,道の駅登録要件に記載のある施設が比較的重要度が高くなる結果となった.しかし,「情報提供機能」や「公衆電話」などの利用頻度が低くなるものは数値が低くなった.また,管理者との認識の違いの把握や,利用状況の把握のため,道の駅利用者アンケートを実施した.利用者の多くは,駐車場やトイレ,無料休憩所を使用するいわゆる「休憩」としての利用と,地域特産品等の買い物が主であり,道の駅内の観光客を目的として整備されている文化施設や温泉,イベントへの参加の目的は低い結果となった.また,施設重要度の分析では,利用者の分散が低く,施設間で重要度に大きな差がないことがわかった.ただし,分散比が比較的高い機能では,管理者と利用者に大きな認識のずれはなく,利用者ニーズを汲んで施設整備ができていると考えられる. 次に道の駅の立地ポテンシャルを用いて,各道の駅で需給ギャップの分析を行った.供給が需要を上回る道の駅の多くは,ハイウェイオアシスや観光客が多い等の特徴を生かした整備が行われている道の駅が多くあることがわかった.需給ギャップ分析後,機能ごとに供給が少ないと判断した道の駅に対しては過去の整備実績から拡充整備の検討を行い,拡充に必要な整備費用の算出を行った.交情報提供機能,交通結節機能はほかの機能に比べ比較的効率的に整備できる結果となった.また,施設拡充により利用者数がどの程度増加するのかを明らかにするため,レジカウント数の分析を行った.半数以上の道の駅でレジカウント数が増加すると予想され,施設拡充の有用性が示唆された.