藤井公亮 市民活動の補助金の特徴及び効果に関する研究 指導教員:松田曜子 市民活動の補助金は,事業を金銭的に補助するのみではなく,補助金を通して市民(団 体)と行政が協働できる関係に導く力があるとされている.一方で,集落単位における既存 組織と地域課題のミスマッチを示した研究も存在する.このように,市民活動の補助金に は,大きなメリットがある一方,地方都市を中心に課題も残されている. 長岡未来共創補助金は,主に長岡市で行われる市民活動に交付される補助金である. 「市民団体等の長岡の未来を考え,その実現のために主体的に取り組む公共事業」の支援 を目的として定めており,主な特徴は次の3つである.1つ目は幅広い助成分野,及び毎 月一度の審査,2 つ目は,最大で 100 万円の申請が可能な高い上限額,中には 80 万円交 付された事業も存在している.3 つ目は,事業を行う上で,長岡市だけではなく,ながお か市民協働センターの支援が受けられる事が挙げられる. 今回の研究では,次の 3 つの事項を検証した.1 つ目は,長岡未来共創補助金の特徴を 把握する事である.こちらは,長岡未来共創補助金の申請や交付に関するデータ分析,他 都市との比較により検証した.2 つ目は,長岡市と市民との関係性を評価した.具体的に は,交付金額に納得しているか,ながおか市民協働センターの役割が機能しているかを調 査した.3 つ目は,補助金を受け入れた事による効果を検証した.具体的には,補助金を 受け入れた事により,課題解決に貢献できたか,効果があったかを調査した.また,市民 との関係性と補助金の効果は,アンケート調査の結果を基に分析を行った. 本研究を経て,長岡未来共創補助金は,改めて市民活動に対して積極的な制度を持った 補助金である事が分かった.根拠として,他の都市よりも多い審査回数,上限額の多さ,幅 広い分野に補助金を交付している事,事業の採択率の高さより,市民活動の補助に積極的 な補助金制度である事が分かった.また,長岡未来共創補助金の合計採択数,総助成額が 2013 年から下降傾向にある.これは,補助金が交付された事業が成熟した事,コロナ禍等 の社会的要因による影響と考察出来る.また,アンケート調査により,長岡未来共創補助 金が事業を金銭面のみではなく,活動をスムーズに進めるサポートを行っている事,そし てその努力が確実な結果を生み出しており,団体から高い評価を受けている事,知名度が 低く消滅しかけている団体を,大きく発展する力がある事が示された.