ENKHTAIVAN BOLORTUNGALAG 令和4年夏季の各地の豪雨の調査と降水量の時間的集中の傾向について 熊倉俊郎 今回の研究では令和4年夏季の各地の豪雨の調査と降水量の時間的集中の傾向について調べた.そこで,降水量積算時間幅を1時間から48時間まで取り各時間幅の最大降水量を7 月上旬から 8 月までの2か月間に期間を絞り,新潟県関川村, 埼玉県鳩山町,宮城県大崎市,高知県窪川町,長崎県美津島町,北海道今金,青森県深浦町の7箇所について求めた.使用したデータは気象庁の気象レーダー降水量を基にしたナウキャストデータと気象庁のアメダス降水量データを用いた. アメダス降水量は気象庁ウェブサイトから1時間降水量を,ナウキャストについては気象庁が作成した合成レーダーデータを用いて対象地域の降水強度を出力することでそれぞれ入手した.レーダーデータは10分毎のデータなので、それを1時間降水量に変換して使用した. いずれの地点でもアメダス降水量がレーダー降水量より多く計測していることがわかった.レーダー観測では,雨や雪の粒に反射された電波の強さから降水の強度を観測する.しかし,電波が反射されてアンテナまで戻ってくる経路上に強い降水がある場合には,電波が減衰してしまい実際の降水よりも弱いとして観測される状況が発生することがある. ここではそのような原因により,気象レーダー降水量がアメダス降水量より小さく計測したと推察される. また,観測点ごとの48時間降水量に対する各時間の降水量の割合を求め,アメダス降水量とレーダー降水量との比較をすると,下関を除いて,レーダー降水量とアメダス降水量のどちらも同じように推移していることがわかった.これについては,時系列のレーダー降水量水平分布をみると,他の地点では,線状降水帯の通過などの大雨をもたらす降水雲の一回の通過が大雨の原因になっているが,下関に関しては,線状降水帯が南北に動くことにより複数回にわたって大雨となっている特徴が見られた.これらの結果から,時間幅を変えた最大降水量の分布で,ある程度の降水の時間的集中の傾向を推察することができることが分かったが,下関と大崎のように降り方が異なる例もあることに注意すべきことが分かった.また,大雨の解析ではデータのサンプリングの位置が少しずれると違う結果となることが分かったが,48時間降水量との比として示した時間最大降水量は,下関以外では同じような傾向を持つことがわかった.下関に関しては,他と特性の違う降水であったと推察される.