サルバドール・ブランカス・ロハス メキシコにおけるコンクリート構造物の現状と技術的課題の調査 下村匠 メキシコは,現在も人口が増加しているので,今後もインフラストラクチャの整備は続くと予想される.しかし,日本,米国,ヨーロッパ諸国が,高度成長期の後にインフラの維持管理が大きな問題となっていることを考えると,メキシコもいずれ同じような時期を迎える可能性がある. メキシコで初めてセメントを製造したことは1881年に始め,1953年にメキシコで最初のプレストレストコンクリート橋が建設された.他の西側諸国に比べって,コンクリート技術の生産と進歩はメキシコでそんなに遅くなかった. 都市とインフラストラクチャを発展しているので,セメントの生産量を増加させている.メキシコの人口はコロンビアの2.5倍であるが,メキシコのセメントの売上高はコロンビアの約11倍もある.その理由は,メキシコのセメント会社は規模が大きく,国際展開していることによる. 気候はコンクリートの劣化の重要な要因である.メキシコは日本と違い冬も温暖なので,コンクリートの凍害が生じない.凍結防止剤の散布による鉄筋の腐食も生じない.メキシコのコンクリート構造物の主な劣化原因はコンクリートの中性化と塩化物イオンによる鉄筋腐食である. 予期しない構造物の不具合事例で,崩壊やコンクリートの剥落などの事例を調査した.事件の理由のいくつかの例は,不十分な設計,不十分なメンテナンス,またはメンテナンスの欠如である. メキシコの運輸省によると,構造物の状態に応じて,目視検査または詳細検査が行われる.検査後,構造物の損傷・状態に応じて,特別なメンテナンス,修理,または定期的なメンテナンスが必要かどうか決定を行う.しかし,一般的な劣化に対する補強や耐震補強,地震によって被災した構造物だけなので,中性化と塩化物イオンによる鉄筋腐食についての情報が必要である. メキシコのセメント会社および建設会社は二酸化炭素排出量を削減するための行動を取っている.しかし,炭素排出量の削減におけるメキシコの問題点がある.現在の政策では,再生可能エネルギーよりも化石燃料をサポートしている.炭素排出量の削減に対する政府の支援が十分でない. 結論として, 構造物の不具合を防ぐには,適切な設計と,確実な施工,維持管理が行われる仕組みが必要である. 構造物の維持管理ファイルには,環境作用による劣化が発生した場合の点検,性能評価,補修に関する事項も含まれている必要がある. メキシコの政府は,化石燃料エネルギーよりもクリーンエネルギーをサポートすべきである. 国内および外国の企業が,国内でクリーンエネルギーを選択して開発できるようにするための政策が必要である.