SANCHEZ LOPEZ DARIO EUGENIO 板の座屈耐荷力に与える初期たわみ形状の影響 岩崎 英治 鋼桁は薄板で構成されているため,耐座屈性を正確に評価する必要がある.薄板には溶接やガス切断による残留応力があり,平板には製造や組立による初期たわみがあるため,耐座屈性が低下することが知られている. 鋼板の耐座屈性の解析では,安全側に評価するために,残留応力と初期たわみの変動の最大値または最大値に近い値を用いることが多い.しかし,鋼板に多くの補強材やリブが取り付けられている場合,初期たわみに関する知見が十分でないため,正弦波状を仮定することが多い. そこで,本研究では線形座屈から得られる座屈の第1モードを初期たわみとして座屈耐力解析を行い,正弦波形状を用いた場合と比較した.解析対象は,ウェブの中央に補剛材を取り付けた平板である.このモデル化では,腐食による板厚の減少や残留応力による補剛材高さの減少を考慮している.弾塑性非線形解析を行う場合は,平板の初期たわみに対して,2種類(S1,S2)を用いて強度を比較する.S1については,強制変位を与えたときに発生する線形座屈解析による第1座屈モードを初期たわみの形態として用いる.また,S2については三角関数を基とする初期たわみ形式として使用することとした. 結論として,補強材の高さと板のウェブの厚さの寸法を小さくすると,形状S1では,形状初期たわみS2で持っている負荷容量に対して,座屈耐力が大きく低下していることがよく分かり.一方で,水平長が垂直長より大きい板では,最大応力に達した後,最初の線形座屈モードの初期たわみで負荷容量の急激な減少が観察される.したがって,この種のたわみは,耐座屈性の低下により大きな影響を及ぼすと判断できる.