新野 祥平 ひずみ速度段階変化が土の応力-ひずみ関係に及ぼす影響 豊田 浩史  地盤が変形する速度には様々なものが存在する.例えば,豪雨時の斜面崩壊のようにある時急激に斜面崩壊する事例もあれば,緩慢な地すべりの季節変動のように数日で数センチ程度変形する地すべりの事例も存在している.室内要素試験において,現実の変位速度を再現した実験を行うことは困難だが,速度変化による力学的性質の変化傾向を把握することは可能であり,今後の崩壊メカニズムの解明や崩壊予測において,必要な知見となり得る.  そこで本研究では中空ねじりせん断試験機を用いてせん断中の中間主応力係数および平均主応力が一定の条件のもとで,一定のせん断ひずみごとにせん断ひずみ速度を変化させる段階速度載荷試験を行った.その試験結果を用いることで,せん断ひずみ速度の変化が土の応力-ひずみ関係に与える影響の考察及びせん断挙動へのアイソタック則の適用範囲を評価することを目的としている.  試験で用いた試料は,粘土試料としてニュージーランドカオリン粘土,砂試料として豊浦砂,粘性土試料として米山粘性土を用いた.このように塑性指数および粒径に着目した3つの試料を使用することで土の種類および性質がせん断速度の変化と応力-ひずみ関係の間に及ぼす影響を調べた.  上記の試験の結果により以下の3つの知見が得られた. 1.砂の非排水応力-ひずみ関係において速度依存は小さい. 2.粘性土,粘土ではアイソタック則の消失ひずみと塑性指数に関係性が見られた. 3.粘性土,粘土の段階速度載荷試験ではすべてのせん断ひずみでアイソタック則が見られた.しかし,速度一定区間でアイソタック則は消失していく.