小保方快 新潟県内における津波などの突発性災害時の防災リテラシー向上のための研究 犬飼直之 2011年発生した東日本大震災の影響により,全国でソフト面ハード面ともに津波への対応の見直しが行われてきた.そういった中で2019年山形県沖地震が発生した.新潟県近海での津波のリスクを伴う地震に対して,行政や住民の準備や対応等,防災リテラシー向上を研究の目的とする. 対象としたとした地震は,2019年6月18日22時22分に,山形県沖深さ14kmで発生した.地盤変動量はOkada(1992)の式を用い,地殻変動室の断層パラメーターから算出した.津波伝播計算は連続式と運動方程式を2次元化した基礎方程式を用いた.計算結果,実測値ともに最短で5分程度で第一波が到達することが分かる.住民を対象としたアンケートでは,5分以内に避難した住民はわずか19.0%に留まっている.避難開始時間を見ると避難情報を見聞きした手段を見ると,年代問わずテレビ・ラジオでの情報入手が7割を超えている.中越沖地震の結果と比較すると,テレビ・ラジオの情報入手率は47%と増加しており,防災行政無線は33%と減少している.これは中越沖地震が発生した祝日午前10時と山形県沖地震が発生した平日夜10時と状況が大きく違うことが影響しているといえる. 災害時の情報伝達を的確に行うために地域の実情に応じ,情報伝達手段の多重化,多様化を図る必要がある.日本ではJアラートの整備が進められており,災害発生時には気象庁から発令された警報・注意報等は消防庁送信システムから人工衛星を介して,各市町村へと送信されるシステムが取り入れられている.受信された情報は市町村ごとの方法,防災行政無線や緊急告知FMラジオ,ケーブルテレビ回線などを利用し,住民へと伝達される. 住民としては,新潟市や長岡市のハザードマップに津波についての知識や津波警報の種類,避難情報の伝達,入手方法,災害から身を守るための備えと行動など,災害に対しての情報が多く載せられているため,それらから災害発生以前から情報を入手していく必要がある.行政側では,ハザードマップにマイタイムラインの作成について記載することで,住民の突発的な災害に対しての知識や準備を十分にすることができ,災害時の地震の行動を正確に判断することが出来る.ハザードマップ内に取り入れることで住民の災害意識の向上につながると考えられる.また津波避難情報だけでなく,実際に津波に巻き込まれてしまった際の対処法等(背浮きや浮く物に掴まるなど)を掲載することも有用である.