笹川文弥 グラベルパイルによる砂質地盤の締固め効果に関する室内および現地試験 大塚悟 宅地地盤の液状化は建物基礎の損傷により全壊被害を受けることが多く,大きな被害を伴う自然災害である.本研究では安価かつ狭隘地での施工性からグラベルパイル工法に着目して,改良効果を定量的に評価し,設計法構築を試みた.グラベルパイル工法は液状化対策効果として,締固め効果,排水効果が期待されている.本研究では室内振動台試験,室内コーン貫入試験および現地実証試験を実施した.本研究の結果を示す.まず室内振動台試験によりグラベルパイルの液状化対策効果として締固め効果が最も影響が大きいことが確認された.次に模型地盤に対する小型コーン貫入試験によって,単杭打設時,格子状打設時どちらにおいても改良効果は杭径によらず改良率で整理できることが確認された.地盤条件に着目したところ,原地盤の初期相対密度が低いケースでは改良率の増加と共に改良効果は増加し続けた.しかし,初期相対密度が高いケースでは改良率を増加させても改良効果が表れにくくなることが明らかとなり,改良効果の限界が示された.この結果を用いて原地盤密度を考慮した簡易の締固め工法の設計法を提案した.さらに,室内試験の結果を実規模設計まで汎用化することを目的として現地実証試験を実施した.室内試験と同様に単杭打設時,格子状打設時の締固め効果に関してコーン貫入試験によって検討した.しかし,単杭打設時においてはN値の減少がみられ,格子状打設時においても十分な改良効果は得られず,室内試験の結果と整合しない,整理の難しい結果となった.さらに,打設1か月後および4か月後に再度地盤調査した際には,N値が大きく上下する現象もみられた.本研究では試験地が河川敷であることからコーン貫入試験結果が河川水位変動の影響を受けていると考察し,水位変化履歴を与えた模型地盤に対する小型コーン貫入試験を実施した.試験結果から水位変化によって同密度であっても貫入抵抗値が変化することが示された.加えて,保水性試験によって実験砂の水分特性曲線を求め,吸水過程におけるサクションの残留を示した.また,水位変化履歴を持つ地盤へグラベルパイルを打設した際の結果からは,改良効果を過小評価する可能性が示唆された.