春川 健太 基準外再生骨材の再生アスファルト混合物への有効利用に関する研究 高橋 修 1980年代から再生アスファルト混合物の運用が本格的に開始された.全体のアスファルト混合物に占める再生アスファルト混合物の製造比率は年々増加し,近年では7割以上の高水準となっている.その一方で,繰返しの再利用による再生骨材の品質低下が問題視され,品質基準を満たさない基準外再生骨材の増加が懸念されている.このような状況において,現在の再生比率を維持するためには,基準外再生骨材を有効利用していくことが必要となる. 再生骨材の多くは,再生骨材に付着している旧アスファルト(旧アス)に再生用添加剤を添加し,針入度を調整・回復させたうえで使用されている.この場合,旧アスへの再生用添加剤の浸透性が重要となるが,再生用添加剤の性能を最大限に活かす混合・養生方法について知見が乏しい.また,現行の配合設計の考え方では,再生骨材に付着する全ての旧アスはバインダとして有効に機能するとされている.しかし,基準外再生骨材を使用する場合,劣化等の影響から一部の旧アスは有効に機能していない可能性がある. 本研究では,基準外再生骨材を高配合率60%で使用するために,旧アスの再生方法に着目した添加剤混合方法,および旧アスの有効程度に着目した新しい配合設計について検討した.検討では,基準外再生骨材を使用した再生アスファルト混合物(基準外再生混合物)のひび割れ抵抗性と塑性流動抵抗性に及ぼす影響について評価した. 添加剤混合方法の検討では,基準外再生骨材に再生用添加剤を添加した後の養生時間と養生温度を変化させ,これらの基準外再生混合物に対して直接引張試験を実施した.その結果,155℃で混合して短時間(60分程度)の養生であれば,再生した旧アスは再度硬化することがないため,基準外再生混合物のひび割れ抵抗性はあまり低下しないこと,および養生温度を低くしても,旧アスの再生効果をあまり向上できないことがわかった. 新しい配合設計の検討では,旧アスに有効程度の概念を導入して配合設計した基準外再生混合物に対して,直接引張試験とホイールトラッキング試験を実施した.この配合設計では,再生骨材を旧アスが有効な再生骨材と無効な再生骨材に分類し,その比率を変えることで旧アスの有効程度を変化させた.その結果,旧アスが無効な再生骨材の比率を20%とすることで新規アスファルト混合物と同等のひび割れ抵抗性を有することがわかった.また,塑性流動抵抗性についても新規アスファルト混合物以上の性能であった. 以上の結果から,基準外再生混合物を高配合率で再生混合物に使用することは添加剤混合方法の工夫のみでは難しいと考えられる.そのため,配合設計での工夫が必要であり,本研究では問題点を考慮したうえで,旧アスの有効程度の概念を導入した配合設計法を提案した.