島津 佑輔 橋面舗装表層に使用する砕石マスチックアスファルトの配合設計に関する研究 高橋 修 砕石マスチックアスファルト(以下,SMA)は,一般的な密粒度アスファルトと比較して,耐久性と水密性に優れている.我が国では,試験的および限定的に使用されてきたが,強度面や施工面においていくつか問題点が指摘されている.その一方で,橋面舗装においては,雨水等の浸入による床版の損傷が問題となっており,水密性の高いアスファルト混合物層の必要性が高まっている.米国では, AASHTOで基準化されたSMA(以下,AASHTO型SMA)が長期にわたって運用されており,我が国におけるSMAの問題点は特に指摘されていない.AASHTO型SMAは,我が国での使用実績がなく,橋面舗装の表層に対する適用性の知見もない. 本研究では,我が国の一般的な資材(骨材とアスファルト)を使用してAASHTO型SMAを配合し,橋面舗装表層への適用に必要な基本的物性について,従来の橋面舗装表層で使用されているものと比較して評価した.そして,AASHTO型SMAの配合設計法を我が国に導入する場合の留意点,主要設計パラメータについて知見を得た. AASHTO型SMAで最大骨材粒径13mmのもの(A-13),最大骨材粒径10mmのもの(A-10)の2種類について,配合設計を行った.その結果,A-13では長期的な耐久性に影響を及ぼす骨材間隙率VMAがAASHTO基準を満足しなかったが,A-10は全てのAASHTO基準を満足した. そのため,A-10の塑性変形抵抗性,防水性,たわみ追従性,すべり抵抗性,骨材飛散抵抗性について,最大骨材粒径13mmの北海道型SMA,密粒度アスファルトと比較して評価した.その結果,A-10は全ての評価項目について基準を満足し,たわみ追従性を除いた全ての評価項目で優位であった.このことから,A-10の橋面舗装表層への適用性は十分であり,従来の橋面舗装表層よりも機能的に優位であることがわかった. その一方で, A-10はVMAの基準下限値と同じであり,余裕を持たせる必要があった.そのため,6号および7号の粗骨材をパラメトリックに変化させて新たな骨材配合比を設定し,VMAおよびダレ量の関係性について評価した.その結果,VMAを17.0~17.5%に調整することでダレが抑えられ,基準値を満足した.また,産地の異なる骨材を使用して同様に配合設計が可能であるか確認した.その結果,VMAが高くても細砂を使用することで,VMAおよびダレ量ともに基準値を満足することができた. 以上の知見より,AASHTO型SMAは橋面舗装の表層への適用性を十分に有しており,VMAとダレ量を骨材粒度の調整で制御することによって配合設計できることがわかった.