塚田永遠 ETC2.0プローブデータを用いたトラベルコスト法による道の駅の魅力評価 佐野可寸志 道の駅は,「休憩機能」(24時間利用可能なトイレや駐車場),「情報提供機能」(道路,観光,緊急医療情報),「地域連携機能」(地域と交流を図る地域振興施設)の3つの機能を備えた道路休憩施設として誕生した.当初は長距離ドライブ中の休憩や道路情報の取得が主な目的で,目的地を別に持つドライバーがふらっと立ち寄る側面が強かった.しかし近年,地域の特色や個性を活かし,温泉や宿泊施設などを併設した個性ある道の駅が誕生している.道の駅は単なる休憩施設ではなく,その地域の活力化に寄与する観光地としての面も強くなってきている. 道の駅の評価方法として,平岡らが道の駅の設置場所を検討する際,レジカウンタ通過客数をもとにしている.しかし,レジカウンタ通過客数には個人のデータがないため,その道の駅に感じている魅力の程度やレジと関係ない魅力を評価することができない.そのため,その道の駅が観光地としてどれほどの魅力を持っているかの評価は難しい. 観光地の魅力を評価する方法として,小幡らがトラベルコスト法をもちいて鞆の浦の観光地としての魅力を評価している.これは鞆の浦の一箇所についてアンケート調査による217サンプルから評価している.しかしアンケート調査では複数の道の駅に対して十分なサンプルを確保するのは困難である. ETC2.0プローブデータは各車両の軌跡を追うことができ,個人ごとにどの程度離れた距離から道の駅に来ているか分かる.また,ETC2.0の利用率は年々高くなっており大量のデータを確保できるようになってきており,今後も増えていくと考えられる.よって,ETC2.0プローブデータを用いれば,大量のサンプルを確保したまま個人ごとのトラベルコストを計算することが出来る. 本研究では,新潟・関東にある道の駅162駅を対象に道の駅の魅力をトラベルコスト法によって評価することを目的とする.そのために,ETC2.0プローブデータから得られる車両の軌跡のデータから,その道の駅を訪れる過程にかかった旅行費用を計算する方法を確立し,対象道の駅の旅行費用を計算する.そして,道の駅データベースのデータや道の駅利用者アンケートから得られるデータを基にした道の駅の魅力を評価する指標と今回算出した旅行費用を比較し,評価できているかを確かめる.