GUNTEVSUREN KHULAN 水害リスクを考慮した新規避難所立地の最適化 佐野 可寸志 本研究では,長岡市を対象にし,避難困難者の避難に要する時間を減らすために,既存の避難所の位置関係や周辺の人口等に考慮した,新規避難所の最適な配置を算出するプログラムを製作し,水害リスクを考慮した立地の最適化を目的とする.本研究では,信濃川を境にして長岡市を2つに分割する.分割された地域ごとにプログラムを実行し,最適の配置を求める.ボロノイ多角形における各ポリゴン内の人口は,それぞれのポリゴンを担当する避難所に避難すると仮定する.最適の配置を求める時は,浸水域内の人口と浸水域外の人口をそれぞれ算出する.ここでは,新規避難所の配置は,浸水域である洪水浸水想定区域及び災害危険区域外,森林地域外,河川と重なっていない,道路と重なっていない,道路沿いにある必要がある.また,ボロノイ多角形を形成する時,浸水域内に位置している既存の避難所を除いてから形成する.次に,浸水域内と浸水域外それぞれの新設する避難所が担当するポリゴン内の人口×最短経路の算出を行い,最適の配置を求める.浸水域内と浸水域外の避難者の避難率は国土交通省「水害の被害指標分析の引用」により,浸水域内人口の80%,浸水域外人口の40%が避難すると原則し,算出する。本研究では250mメッシュを用いており,ボロノイ多角形で分けられているそれぞれのメッシュ内人口はメッシュの面積の割合により処理を行う.今後の課題として,次の3つについて考慮する必要があると考えられる.1つ目は,距離において,直線距離ではなく,道路networkで考慮することである.2つ目は,避難途中に浸水域が存在する場合は,浸水域を通らないように考慮する必要があると考えられる.3つ目は,避難率の不確実性についてである.本研究では,避難率を浸水域内人口の時は0.8,浸水域外人口の時は0.4と原則し,計算を行なった.しかし,避難率には,氾濫特性,天候,時間帯,地域特性の影響があるため,避難率は常に一定であるとは言えない.時間帯や地域特性等により,避難率が異なるため,得られた結果は確実ではない可能性があるということが分かる.従って,避難率の確実性について今後検討する必要がある.