大沼 薫 道の駅の利用目的別車両数推定モデルの構築 佐野 可寸志 本研究の目的は,利用者のニーズに応じて多様化する道の駅を評価する際に道の駅の特徴や方向性を考慮できるよう,道の駅の利用目的別に利用者数を把握するとともに集客要因を明らかにすることである.なお,道の駅の利用者に含まれる非購買層への考慮や利用者の個人属性の把握しやすさなどから,利用車両数を基本単位とした. まず,不足している道の駅の属性データの収集のため,全国道の駅管理者アンケート調査およびWEB上の口コミ収集・分析を実施した.結果,各道の駅において利用客層に違いがあること,道の駅での支援について,「拠点化」を意識しているものが多いことが分かった.また,口コミにおいて,道の駅での経験が高評価される一方で,商品の品揃えや金額には注意が必要なことが明らかになった. 次に,利用客層の違いについて,ETC2.0データや混雑統計データによる利用車両分析を行うとともに,利用を「地域内利用」,「滞在利用」,および「立寄り利用」に分類した.さらに,利用目的によってレジ利用率は異なると考えられるため,道の駅にて駐車場利用車両数およびレジ通過人数調査を実施し,利用目的別にレジ利用率原単位を推計した.結果,長時間の利用かつ明確な目標をもたない滞在利用におけるレジ利用率は1.36となり,短時間利用かつ休憩が主な立寄り利用の0.74に対して1.8倍の値を示した.地域内利用においては日常的な購買施設として利用するためかレジ利用率は1.01と,短時間かつ単身での買い物が見込まれた. また,目的別レジ利用率原単位モデルをアンケートより取得した年間レジ通過人数に用いて算出した利用目的別車両数と道の駅の属性データを用いて重回帰モデルを構築し,利用目的別に集客要因について分析した.結果,地域内利用において,「直売所契約農家数」や「周囲5kmの人口」が正に有意となり,地域住民の日常の買い物施設としての直売所利用が考えられる.滞在利用では,「地元作物メインのメニュー数」および「遊具施設設置面積」といった「体験の消費」に関する要因が有意であり,遊具施設を主に使用する子どもを連れた家族の利用が多いと考えられる.立寄り利用車両では「前面道路交通量」が有意でない一方で「駐車場面積」の影響度が大きく,突発的に休憩を求める際には「車を停めての休憩」のため,確実な駐車が優先されると思われる. 本研究より,道の駅の利用目的別に整備すべき属性が明らかとなった.