MARIO ADRIEL VAZQUEZ PELAEZ Seismic retrofit of steel truss bridge using CFRP sheet (鋼トラス橋のCFRPシートによる耐震補強) 宮下 剛 高速道路橋には、引張力で動作するように設計された構造部材がある。地震が発生した場合、圧縮力によってそれらの部材に局部座屈が起こる可能性がある。したがって、圧縮力に対する安全性を確保するため、それらの部材を補強することは重要である。そこで本研究では、CFRPシートを補強材料として使用した場合の効果に関するデータを取得し、圧縮荷重下での補強材料としての性能評価を目的とする。 本研究では、13体の実験体を用いて耐荷重試験を行った。実験体はH形断面の軸力部材である。実験は四つの異なるシリーズ(a、b、c、d)に分類した。ここで、シリーズbは他のシリーズと比較するための実験体であり、フランジとウェブの厚さが大きい無補強の実験体とした。本実験では、無補強実験体と三つのケースの補強された実験体を用意した。ケース1は、鉛直方向に繊維を有するCFRPシートで補強された実験体である。ケース2は、鉛直と水平方向に繊維を有するCFRPシートで補強された実験体である。ケース3は、鉛直と水平方向に繊維を有するCFRPシートで補強された実験体であるが、水平方向シートは半分となっている。さらに、FEM解析を行い、このH形断面の軸力部材とCFRPシート補強に関連する将来の設計の基礎研究とする。 ケース1の補強は、座屈荷重を増加させ、最大荷重後の降伏強度の損失を低下させることが判明した。しかしながら、ウェブ座屈後の全体的な剛性損失は改善されなかった。ケース2では、水平方向CFRPシートを加えることで、局部座屈がさらに増加した。フランジを補強することにより、最大荷重後の降伏強度の低下はほとんどなく、ウェブ上の局所座屈による剛性低下が改善された。水平方向のCFRPシートが少ないケース3では、ケース2と比較すると、ウェブの座屈荷重はほとんど変化せず、フランジの座屈荷重は増加し、剛性と靭性はほとんど変化しなかった。今後の研究では、両方向のシートを減らす実験が行われる。FEMモデルは、道路橋示方書に従って初期不整の効果を有する。最大荷重と座屈荷重に関する解析結果は、実験結果と類似していた。しかし、剛性と靭性の挙動に関する結果は異なっていた。今後の課題として、実験体の溶接効果を考慮する必要がある。残留応力の影響を考慮することにより、解析結果は実験結果に近づく可能性がある。