趙 楼伊 シールド挙動に関連した操作特性値の開発と検討 杉本 光隆 本研究では,既存シミュレーション(2020.3),羽田際内,外環道の3現場のシールド緒元を用いた解析結果から,シールド操作条件(入力値)とシールド挙動(出力値)の関係式を導き,AIルールの作成法について検討する. 近年,リアルタイムにコンピューターに取込んだ現場計測データにAIを適用して,シールド機を計画線形に沿って能動的に制御するためのシールド機操作条件(ジャッキモーメントの着力点)を求める手法の開発が行われている. 本研究では,シールド機操作支援AIにおいて基準化するべき特徴量を把握することを目的として行った.シールド機動力学モデルを用いて,シールド機操作条件,地盤条件,マシン条件をパラメータとして,シールド機挙動シミュレーションを行い,これらのパラメータがシールド機挙動に与える影響を把握する. シールド機操作条件(@ジャッキ推力・ジャッキモーメント,A中折れ機構(中折れ角度,向き),Bコピーカッター(長さ,範囲))をパラメータとした場合は,これら3つのシールド機操作条件の感度について考察した.また,地盤条件,マシン条件をパラメータとした場合は,AIにより得られたルールにどの位の汎用性があるか検討した.結果として,1)直線部では,コピーカッター長さが増加すると,平面曲線半径,縦断曲線半径,掘進速度共に一定値のため,影響がない.2)直線部では,中折れ角が増加すると,平面曲線半径,掘進速度は減少するが,縦断曲線半径は無限大となり直進する.3)中折れ角が180minの時に掘進速度がマイナスとなっており,シールドが後退している.これらの原因は,次のように考えられる.1)中折れした方向に,シールド機が回転し,平面曲線半径が減少するのは,カッターフェイスの掘削領域が偏心し,その結果地盤反力が変化し,これらを考慮に入れたシールド機に作用する水平モーメントの釣り合いの結果である.2)中折れ角が増加すると,掘進速度は減少するのは,平面曲線半径が減少し,シールドスキンプレート周辺の摩擦抵抗が増加し,ジャッキ推力一定だと,切羽の掘進抵抗が減少するためである.3)中折れ角が,180minで後退したのはジャッキ推力が不足したためである.これらのパラメータは,シールド機挙動と密接に関係していると考えられるが,どのような指標を用いれば,より汎用性のある表現になるかは,更なる検討が必要である.